実録フォーム改造!!ヘビータックルフォームからテクニカルフォームへ

フォーム改造で自己新記録!!35枚ゲットの工藤テスター

当工房では、テクニカル系小物釣りにおける基礎中の基礎を『グリップ= G、フォーム=F、アングル=A、の3つを安定して実践すること』としていて、このブログにも詳しい記事を書いています。

参考 : 船小物釣り上達の絶対的な秘訣!!G.F.A理論とは【前編】

参考 : 船小物釣り上達の絶対的な秘訣!!G.F.A理論とは【後編】

で、せっかく詳しく書いたのであれば、これを基に具体的に改善していく様子をお伝えしたい。

そんなことを考えていたんですが、そのモデル役にちょうどぴったりな人が居たんですよ。

それが、当工房のライトアジ専属テスターである工藤氏!!

ということで、今回はアジ釣り名人のフォーム改造についてお送りします。

実録ですので、似たような状況にある方には結構参考になるんじゃないかな、と思います。

 

ビシアジ釣りの原点はヘビータックルなので

近年ライト化が進んでテクニカルな小物の数釣りの側面がクローズアップされてきたLTアジ釣り。

ライト化されたこの釣りは、従来のビシ釣りのイメージには無かった圧倒的な釣果を生み出す為の考え方、パターン変化へのアジャスト等、非常に戦略性が高いです。

そして、当工房ではいち早くこのような側面に大きくフォーカスし、新たなコンセプトでロッドを設計。

今春(2022年)リリース予定です。

今まさに新時代へ入っていこうとしているライトアジは、超エキサイティングなジャンルである!!と言える訳で、ワクワクしているんですが・・・・まぁそれはこちらの記事を読んでいただくとして・・・・(笑)

今回の企画はそんなLTアジ釣りの最先端をいく工藤氏が、なぜか手も足も出ない釣りもの、つまりカワハギ釣りに挑戦するところから始まりました。

遡ること20年以上前、アジ釣りと言えば130号ビシを使ったヘビータックルが当たり前だった時代。

その頃からのアジ釣りフリークである工藤氏ですから、当然のごとくその影響を色濃く受けています。

古くからやっている方は、同じくこういう傾向が強いですよね。

特にフォームについては、道具の重さから脇挟みが主流。

この釣り一筋に傾倒してきた工藤氏も例に漏れずヘビータックル系ですから、完全に脇挟みスタイルが基本として染み付いています。

アジ釣り中のフォームは脇挟み

もちろん、LTアジ釣りにおいてはこれで何ら過不足無く対応が可能であり、氏の実力とその理論は超がつくハイレベルにあることは、最早説明するまでもありません。

が、ひとたび釣りものがカワハギ、はたまたシロギス等に変わった途端に支障を来たし、思うようなパフォーマンスが発揮できなくなります。

それはなぜなのか?

ということで、そうなってしまう理由を探るところから考察をスタートさせてみましょう。

 

カワハギが脇挟みでは厳しい理由

なぜライトになりよりテクニカルになったライトアジが、現在でもヘビータックル系のフォームそのままで問題無いのか?

結論から言うとそれは

『この釣りが基本的に縦軸の操作のみで行われるものだから』

です。

もう少し詳しく言うと、アジ釣りは上下の動きで仕掛けを操作し、竿下に常に道具をぶら下げて釣りをします。

従って、船の動きや潮の流れで、穂先からでたミチイトの向きが大きく変わらない。

これが脇挟みで対応可能な一番の理由です。

一方、カワハギやシロギスはどうか?

これらの釣りはキャストも交えつつ、ボトムをトレースするような横軸の操作が必要になります。

そしてこのような操作をする時、ミチイトの向きは大きく変化します。

例えば・・・・

・キャストをすれば当然ミチイトは自分の前方に出ている
・船が動いた際にボトムを取っていれば錘をその場に置いていく格好になる

といっい言った具合。

なのでアングラーは、必要に応じてボトムに置いた錘を引き摺ったり、逆に引き摺られないように竿先を送って付いていったり、クラッチ操作で糸を出してやったり。

この様にして仕掛けの動きをコントロールしなければなりません。

つまりアングラーと錘の位置関係が横軸において離れていってしまうわけですね。

参考 : 気付けばもっと釣れる!!陸っぱりと船釣りの決定的な違い

で、このような横移動に伴って発生するのが、穂先とミチイトの作る角度(アングル)の変化です。

横移動でアングラーから錘が離れて行くにしたがって、アングルは鈍角、もしくは鋭角に変化します。

しかし釣りをする際には適正範囲、具体的には90度 ± 15度の中でアングルを保っておくことが重要。

これがアングルコントロールです。

例えば、アングルを適正に保つために、仕掛けが払い出していく場合は竿先は上、船下へ入っていく場合は下に向けないといけない。

といったように、アングルコントロールには竿先を上下させる動きが必要になるわけです。

ところが、脇挟みは竿尻を脇に固定しリール付近を手に持っています。

これにより稼働域が大きく制限されるので、竿先の上下が非常にやり難い。

特に上向きの構えには全く適していません。

人はやりにくい動作を習慣化することがなかなかできませんから、結果的にアングルコントロールはおろそかになり船の動きに翻弄されやすい。

上に構えなければいけない払い出し方向が特に苦手なので、キャストの釣りが億劫になりがちです。

更に、竿尻が脇に固定されているため多様なアクション(誘い)を行い難いというのもウイークポイントです。

今回モデルになって貰った工藤氏は、これまでも年に数回だけカワハギ船に乗っていましたが、それは飽くまでアジ釣りの技術向上の為の経験値稼ぎであり、カワハギを数釣ることには全く拘りを持っていませんでした。

フォームはアジ釣りのまま脇挟みであったために、ロッドのコントロールが上手く行えず、適正なアングルになるのは船下付近に錘がある時のみ。

釣り方の選択肢もほとんど無くなってしまっていたのです。

 

フォーム矯正の苦しみ

ひとつの釣りに抜きん出た超絶名人と言えども、別の釣りものに挑む時その釣りに全く適さないフォームのままでは全く手も足も出ない。

これは、この頃の工藤氏を見れば明らかです。

しかし逆に言えば、フォームさえ改善できれば一気にレベルアップが可能になるはずです。

加えてG.F.Aを正しく身につければ、必ずカワハギでも力を発揮出来るようになる。

というとこで、敢えてシビアなアングルコントロールを要求される当工房のカワハギ斬-ZAN-TypeHHを使用しての特訓がスタートしました。

いきなり穂先が逝く

まず特訓初日。

事前にアングルコントロールと取り込みについてレクチャー。

脇鋏みから肘当てスタイルに変更して釣り開始です。

肘当てスタイルにてスタート

が癖とは恐ろしいもので、少し気を抜くと自然といつもの脇鋏みに戻ります。

そうなると竿先が下がり気味に。

加えてミチイトが払い出す場合にはすぐにアングルが大きく開いてしまい、更にそうなってしまっていることを全く意識できていない。

これを横から何度も指摘。

船の動きに翻弄され、仕掛けがコントロールできていないので当然カワハギは思った様には釣れません。

そして外道のホウボウを釣り上げた時でした。

竿を立てて魚をぶら下げてしまいポキリ(泣)

やっちまったぜ・・・(泣)

アジ釣りでは天秤やビシを持って仕掛けを手繰るのが取り込みの基本なので、一気に抜き上げる胴突き仕掛けの取り込みは要領が違い、ちょっと戸惑ってしまう模様です。

また、アジの竿は胴調子ですから少々立ててしまっても簡単には折れませんが、カーボントップのカワハギロッドではそうはいかないことを痛感。

結局この日はもう一本穂先を折り、釣果も私の3分の1とまるで奮わずに終了。

様々な点で「意識が欠けている」ことを自戒しつつ、相当ヘコんでしまったアジ釣りの神なのでした。

 

思い切ったフォーム変更で意識を変える

初回の挑戦でかなり落ち込んでしまった工藤氏ですが、ここで思い切った作戦に出ます。

それは気を抜くと脇鋏みに戻ってしまう肘当てスタイルを一度諦め、スナイパー持ちに変更する、というもの。

確かにスナイパーなら無意識に脇鋏みに戻ってしまうのを抑制出来ます。

それでも払い出し時の角度調整には、やはり意識が向きにくいことも有り、私も気がついたら適時指摘。

こうして数度の釣行で徐々に頭を切り替えていったのです。

 

と、アジ釣りの神がここまであれこれ考えて苦労するフォーム改造。

染み付いた癖の矯正には、明確な覚悟と意識、そしてその為の工夫が必要ということですね。

 

そんな工藤テスターですが、数度の特訓後にきっちり成果を出してくれました。

それは、そろそろ竹岡沖のカワハギが固まり、Xデーが訪れるのでは??と期待された2021年11月某日。

特訓のため、単独でカワハギ船に乗り込んだ工藤テスター。

いきなり35枚の大釣り(冒頭の写真参照)

自己記録を大きく更新です。

ちなみにこの日の2番手は8枚とのことでしたから、どれだけレベルアップしたのかは一目瞭然。

正直私もそこまで凄い結果を出すとは予想していませんでしたが、完全にフォーム改造と意識改革の努力が実を結んだ瞬間だったのです。

 

まとめ

この大釣り後、更に数回のカワハギ船へ乗船した工藤テスターですが、コンスタントに好い釣果を上げ続けています。

もちろんパターン変化へのアジャストには更なる経験が必要ですし、キャストの釣りができていない等々、まだまだやるべきことはたくさんあります。

しかしツ抜けもままならなった特訓前からは見違える様に結果を出せるようになっており、日によっては竿頭を取ってくることもあります。

この様に、G.F.A をきちんと行うことの重要性を身をもって示してくれた工藤テスターなのでした。

今後は更に特訓をつんで、まだまだ苦手としている肘当てフォームと、キャストの釣りをマスターして貰いたいと考えています。

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