カワハギ釣りに悩んだらまずこれをやれ!!最強メソッド『誘い掛け』とは!?

おそらく、カワハギ釣りは最もパターンの変化が激しく、アングラーのアジャスト力が試される釣りのひとつだと思います。

なので一種類の釣り方とその微調整のみで変化するシチュエーション全てををカバーするのは不可能。

それゆえ、カワハギ釣りにはたくさんの方法論が溢れているんですが、これがなかなか難解です。

というのも、釣り方については釣り人各々が非常に主観的な言葉で伝えていることが多く、言葉尻だけでその肝になる部分まで理解するのは結構難しかったりするからです。

しかし複雑に見える様々な釣り方も、そのメカニズムを突き詰めていくと、

『最終的には大きく3つに集約される』

というのが私の考え方。

その3つとは、

  • ①手感度釣り
  • ②目感度釣り
  • ③誘い掛け

で、これを私は『カワハギのスリーメソッド』と呼んでいます。

なお、このうちの①と②については既に別記事で解説したところです。

参考 : カワハギの手感度アタリの新しい概念 →『擦過シグナル』をガッツリ深掘りしてみる

参考 : 勘違いが多い!?本当のカワハギの目感度を本気で解説


このスリーメソッドの分類で組み立てを行うようになってからというもの、とてもスッキリと頭の整理がつき、シーズンを通じた成績でもグッと安定感が増してきています。

で、今回はこのスリーメソッドの3つ目にあたる『誘い掛け』を掘り下げるわけですが、これ、カワハギを釣るためにはもとても理にかなった方法で、3つの方法論の中ではカバー出来るシチュエーションが最も広いのです。

つまり、カワハギ釣り師が自分のスタイルを構築していくうえで、まずはベースに据えると非常に効率的とも言えます。

その辺りのことについても後ほど詳しく解説していきますね。

そもそも『誘い掛け』とは何ぞや?

ではまず、そもそも誘い掛けとは何なのか?から。

これは読んで字のごとく、誘いの動きの中でカワハギを掛けてしまおう、というもの。

つまり、カワハギが掛かってくれる様に仕掛けを操作して釣る方法です。

既に解説した手感度釣りと目感度釣りがカワハギのシグナルを捉えて掛けていくのに対して、これは誤解を恐れず言うと

” アタリを取らない釣り方 “

であり、ハマった時の破壊力のスゴさから

“究極のタイミング釣り”

であるとも言えます。

しゃくりのスピードや幅、インターバルを変えて掛けていく太刀魚の天秤釣りが正にこれで、やったことがある方はスッと理解できるはず。

この釣りでは、誘いのパターンが上手くハマると太刀魚が面白いように掛かります。

アクションがドンピシャにハマってしまえば、しゃくり始めるとすぐにバシッと掛かってくれて、シグナルも何も関係ない無双状態になります。

「もう釣れる気しかしない」

ってヤツで、カワハギの誘い掛けが目指す到達点のひとつかまさにこれです。

誘い掛けのイメージ

カワハギの誘い掛けの理想のひとつは、前述の太刀魚の例と同様、完璧にアクションを合わせて無双状態に突入することです。

まず分かりやすい例をひとつ挙げると、錘でボトムをトントンとしているだけで掛かってしまうパターン。

この場合、トンと錘を海底に着け、次に持ち上げる、という動作を繰り返している訳ですが、これでカワハギが掛かるところを順番に分解してみると、

①錘を下げた時、もしくは着底して一瞬止まった際にカワハギが餌(針)を咥える

②次の持ち上げの動作で仕掛けにテンションが掛かる

③針先が口の中にぶつかりそのまま掛かる

となります。

ここで③に注目してください。

動作がある程度上手くアジャストできてくると、針が掛かるところまで行かずともカワハギの口の中に針がぶつかる様になります。

するとラインにテンションが発生して、それが穂先を介して手元に伝わってきます。

そう、これが誘い掛けでのアタリ発生のメカニズムです。

つまり、「アタリを出してやる」ということですね。

上記は一例として “錘トントン” を挙げていますが、そのほか様々な動きにより同様のアタリを発生させることが可能になります。

例えば

  • アクションをスローダウン → ふわふわ誘い
  • アクションを思いっきりスローダウン →弛ませからの聞き上げ
  • アクションをスピードアップ → 誘いの速度変化
  • アクションを思いっきりスピードアップ → 叩き釣り
  • 下錘の位置をあまり動かさずに仕掛けだけ揺らす → 集寄や中錘を動かす釣り

どうでしょうか?

こう見ると、カワハギ釣りの基本的な釣法が、仕掛けの動きによりアタリを発生させることを目指していることがお分かりになるかと思います。

つまり「叩き釣り」「弛ませ釣り」「聞き上げ」「集寄の釣り」等など、カワハギの基本釣法として紹介されるこれらは、それぞれが個別にポツンと存在しているわけではなく、『誘い掛け』という大枠の中のバリエーションとして存在している、と捉えることでスッキリと整理できてくるのです。

 

 

誘い掛けというメソッドの使い勝手の良さ

前述の通り、底トントンも、叩き釣りも、弛ませ釣りも、集寄の釣りも、誘い掛けのバリエーションに入ります。

その他、ゼロテンステイからの聞き上げや、誘い下げから着底して切り返し、なんかも『仕掛けに一定のアクションをつけることで掛けていく』という意味では誘い掛けの範疇と考えます。

カワハギのシグナルを見つけることを優先させる手感度や目感度の釣りと、上手く針掛かりするアクションを探すことを優先させる誘い掛けでは、元になる考え方のベクトルが異なるのがお分かりいただけるでしょう。

そしてもうひとつ、誘い掛けは “自分の釣りの基本型” に据えるのにとても適しているメソッドでもあります。

というのは、誘い掛けが『自分の動作をベースにしたもの』だからです。

基本となる誘いの動作をひとつ持っておくことで、それが組み立ての基準になる。

そして、そこから速度やステイの間を変えていくだけでかなり多くの状況をカバーすることが可能になるわけです。

また、自分の動作に主眼をおいているので、あれこれ迷ってしまった際に立ち戻る場所に非常に適しています。

立ち戻る場所があることは安心感につながり、メンタル面でも大きくプラスに働きますから、自分のための “ルーティーン” と言っても良いかもしれません。

誘い掛けの具体例

このように非常に使い勝手の良い誘い掛けですが、使える範囲が広すぎてどこから手をつけたら良いかわからなくなる、という方も多いと思います。

なので参考に、私が行っている方法を幾つか挙げてみます。

なお、誘い掛けの場合、手感度のシグナルを出すことを重要視しないことと、動かしながら掛けるために弾いてしまわないことが求められるので、穂先の柔らかいロッドが適しています。

【例1】ラインを張って弛めての連続アクション

これをベースとしてスピードを変えてやるだけでそこそこの範囲をカバーできる、とても汎用性の高いパターンです。

やり方は簡単で、錘をボトムに着けたままラインを張って緩めてと操作します。

仕掛けと餌だけを動かすイメージですね。

目感度釣りと併用するため、及び仕掛けを動かしやすくするために1~2号程度の中錘(ガン玉)を打っておきます。

錘の動きは、立ったり寝たりのイメージ。

柔らかい穂先がラインを張った際に適度に曲がって錘の余計な跳ねを抑えつつ、仕掛けをきちんと動かしてくれます。

ちなみにこの動作を早くしていくと、いわゆるタタキになります。

また、カワハギの活性が高い様なら少し錘が浮く「錘トントン」も有りで、これもバリエーションのひとつと考えて行っていきます。

これを思いっきりスローダウンするといわゆる弛ませからの聞き上げ釣りになります。

【例2】錘の早い上下動

これは活性高め、密度高めのカワハギに有効なパターン。

これを行う時はガン玉を外して、手感度も同時に感じ取れるようにしておき、急に訪れるパターン変化に気付きやすくします。

(※このために当工房で企画中(2021年9月現在)のカワハギ斬-ZAN!!-TypeM(仮)は穂先に敢えてグラスソリッドではなくカーボンソリッドを採用しています。)

錘が着底したら50センチ程度を早めに上下させ、この動きの中でカワハギを掛けてしまいます。

横への追い気があるようなら、キャストして同様のアクションを行い、カワハギを自分の前に集めつつ数を稼ぎます。

アクションの速度と幅を合わせることができると、余計な餌を盗られることなく素速く掛けていくことが可能になり、手返しがアップして一気に数を伸ばすことができます。

またワッペンがたくさん群れて、超ハイスピードになっている時にも威力を発揮します。

【例3】錘の横移動を抑えた定点誘い

活性が低く動きが遅い場合や、密度が低くあまり横に追わない場合に効果的なパターン。

アクションは例1と同様にボトムに錘を着けたままラインを張って弛めての繰り返しです。

このパターンでも、仕掛けを動かしやすくするためと、一連の動作の中に目感度釣りを組み込むために1~2号程度の中錘(ガン玉)を打っておきます。

キャストして底質を感じ取りながら錘の横移動を極力抑えた誘いを行い、ハードボトムを見つけたら特に注意して定点でアクションさせます。

アクションさせつつ横移動を抑えるためと、目感度釣りを一連の流れの中に組み込むために柔らかい穂先がとても役に立ちます。

なお、これも大幅にスローダウンすると弛ませからの聞き上げ釣りになります。

ということで私が普段行っている誘い掛けの実例を挙げてみました。

非常に高い汎用性があり、ある意味ではこれらを順番に当てはめていくだけでもそこそこの結果を出すことが可能です。

カワハギ釣りの入り口として、まずは誘い掛けから入ることをお勧めしている理由がお分かりいただけたでしょうか?

誘い掛けのデメリット

こんなに素晴らしいメソッドである誘い掛けですが、もちろん万能なわけではありません。

誘いの中でアタリを感じたのに上手く掛からない場合、そのままアクションを続けるのは効率的ではないので、先にも書いた通り、そんな時には仕掛けのテンションを抜き気味でステイさせて目感度釣りに移行させていきます。

逆に言うと、目感度釣りは誘い掛けのアクションとセットで行うことがほとんど。

当然ながらステイの前段階として誘いが必要になりますから、その誘いを誘い掛けのアクションで行うわけですね。

また、根の中や根際に密度高めで存在し、そこからあまり離れないカワハギを狙う場合も誘い掛けが効きにくくなります。

キャストから定点での誘い釣りを行っていても、どうしても少しずつ錘が手前へ寄ってきてしまいますから、追いが悪いシビアな状況ではなかなかヒットに繋がりません。

しかし、超高感度の手感度特化ロッド(ここ大切)であれば、ハードボトムを見つけたらその場に完全に止めてゼロテンションで待ち、カサカサやチッというカワハギのシグナルを感じ取ることができます。

こうなれば掛けるのは非常に簡単で、他の釣り方ではなかなか太刀打ちできません。

外道が大量にいる場合にも誘い掛けが難しくなります。

誘い掛けは「誘いながら掛けてしまう」メソッドですから、シグナルの違いから掛けにいくか?スルーするか?の選択肢が無い。

どうしても大量の外道を釣りまくってしまい、その中にカワハギが混ざればラッキー、という感じになってしまいます。

誘い掛けのアクション時に出るシグナルは重さの変化やブルッ、グイッ、ガチッといった感触が手に伝わるものや穂先の押さえ込み等ですが、完全にはカワハギと外道をあまり区別できません。

もちろん中には「これはカワハギで間違いないだろう」というものもありますが、見分けられる確率はそこまで高くない。

こんな時に手感度特化ロッドを用いれば、カワハギだけが出す高周波のシグナルを探し外道のアタリをスルーできます。

これでカワハギだけを選って効率良く釣ることが可能になり、非常に大きなアドバンテージとなるのです。

ちなみに手感度、目感度、誘い掛けの3つのメソッドにおいて、シグナルの発生源がカワハギかそうでないか?を見分けられるかどうかの正確度は、手感度が群を抜いて高いのです。

更に外道の躱しやすさも手感度、目感度、誘い掛け、の順になると思います。

このように誘い掛けにも苦手なシチュエーションがあります。

カワハギ釣りのメソッドは、どれが良くてどれが悪いなどという話ではなく、それぞれのメソッドの特徴を知って状況に応じて使い分けられると便利だよ、ということなんですね。

まとめ


今回の誘い掛けの記事は、正直言って書くかどうかちょっと迷いました。

それは、非常に強力なメソッドであるにも関わらず、ほとんど体系付けた記述や理論が存在しておらず、放っておけば分かってる人だけが独り勝ち状態になれるからです(笑)

冒頭にも書いた通り、カワハギ釣りでは使う仕掛けや道具、ロッドの動かし方等で細分化された個別の情報によって混乱させられることが多いです。

したがって、まずは釣り方を体系付けて頭を整理することが大切。

その方法のひとつが、手感度と目感度に誘い掛けを加えたスリーメソッドの活用です。

ちなみに「誘い掛け=タイミング釣りなんてテキトーな釣りはダメだ」と狭量なことを言う人も少なからずいますが、釣れるアクションとタイミングを割り出すために状況を見極めアジャストさせていく、という意味ではどのメソッドも同じであり、そこに優劣などありません。

テクニカルな小物釣り、特にカワハギ釣りでは数字を出すことが多くの人にとっての目標ですから、釣れるメソッドを選びとることができるか?がその人の技量と言えるはず。

ということで、今回でカワハギのメソッド3部作が完結しました。

かなり力を入れて書きましたが、「分かりにくい」「もっと具体的に現場で教えろ」等、ご意見あればメッセージください。

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