新説!? 魚の密度と釣り方の関係性

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一般的に

「魚が多ければたくさん獲れる」

と言うのは誰もが感覚的に理解しているところ。

しかし、こと釣りにおいては魚(タコ・イカ等も含む)の資源量だけでなく、その日釣りをするエリア、更には仕掛けを投入したその場所、と言う狭い範囲のターゲットの密度という観点が重要になってくる、というのを実体験としてひしひしと感じています。

この「魚の密度」をパターン変化のファクターとして捉え、戦略を組み立てること。

この視点を持つことにより頭の整理がしやすくなり、アジャストが早くなったと実感しています。

『活性』は便利だけどすごく大雑把な言葉

「活性」と言うのは、元々バスフィッシングで使用されていた言葉で、”魚のやる気” の変化を表すのに非常に都合が良い為、段々と様々な釣りでも使われるようになりました。

今ではほとんどの釣りで活性の高低をその日の成績と結びつけて話すのが常識となり、船釣りにおいてもそれは同じです。

確かに、活性が高いから釣れた、低いから釣れなかった、と言うのは状況を説明するのにはとても便利で、私も頻繁に使います。

しかし、活性の高低を感じて誰かにそれを説明できたとしても、それは飽くまで結果の解説です。

活性が高いにしても低いにしても、それが何故起こっているのかを理解しないとリアルタイムでの攻略にはなかなか結び付きません。

「活性が高かったから今日は釣れた」

もしくは

「活性が低かったから貧果だった」

と、魚任せの結果論にしかならない訳です。

特に我々が愛して止まない “テクニカルな数釣り” の世界は、刻々と変化する状況を敏感に捉えてアジャストし続けることをパズルの様に楽しむゲームです。

「たまたま」をなるべく排除して全てをコントロール下に置くことを目指す(出来るかどうかは別として(笑))

これが「釣れた」では無く「釣った」に繋がるわけですね。

魚の密度 = 競争心

では、実際に活性の高低を司る要素はなんでしょう?

船釣りの世界でよく言われるのが、水温、水色、潮流

確かにこの三つは重要なファクターです。

ただ、適水温で水色も適切、適度な潮流があるのに喰いがしぶい、というのはまま有ります。

所謂 “スイッチが入らない” 状況ですね。

まぁ、実際には表層からは海底の潮や水温がはっきり分かる訳では無いので絶対はありませんが、条件は良いと考えられるのに何故か喰わない、という状況を説明するのに他の指標があっても良さそう。

そこで出てくるのが「魚の密度」という概念になります。

仕掛けを投入した場所にターゲットがたくさんいること。

例えば自分の仕掛け、餌に興味を持ってくれる魚、つまり「やる気のある魚」がそこに居る数の50%だったら。

10匹の半数なら5匹ですが、100匹の半数なら50匹ですから、100匹の方が釣れる数が増えるのは当たり前ですね。

確率論的に言えるのはここまでですが、更に分母が大きいこと、つまり密度が高いことによって生まれる要素があります。

それは “やる気のある魚” がたくさん居れば、餌を取り合う『競争』が激しくなると言うこと。

そして、これを考えることが “魚の密度” を状況分析に加える最大の利点となります。

魚の密度から考える戦略の変更

魚の密度が高いと競争心が働きやすくなる。

これは感覚的に理解しやすいと思います。

では、それをどのように実釣時に取り入れて戦略を立てるのか?

ここからはシロギス釣りにおける私の組み立て方を例に挙げてみたいと思います。

最盛期の夏場

この釣りの最盛期と言われる夏は、浅場に入って来たシロギス達がかなりの密度になります。

水温も高く、食い気のあるシロギス達の中へ仕掛けを投入しますから、彼らの競争心が働いて、活発に餌を追う。

そして、取り合いながら餌を食うので、引ったくるような大きなアタリが出て向こうアワセで掛かってくれます。

また、取り合いをしますから、必然的に餌を追い掛ける距離も長くなりやすい。

従って、より競争心を煽ってリアクションで食わせるイメージで大きめ、早めの誘いが有効になる時期です。

  • 天秤仕掛けで素早くシロギスの食い棚を直撃して
  • 横の誘いを掛けてどんどん食わせる

そんな戦略が非常に有効になるわけです。

夏場がシロギス釣りの最盛期と言われるのはこういうメカニズムからで、もちろん入門にも最適です。

気難しい季節の変わり目

秋口から冬、更に春先までの低水温期、特に水温が安定しない季節の変わり目には、シロギスの居場所がバラケやすく、密度が低くなりがちです。

  • 取り合いにならないので、ゆっくり吟味して餌を食ってくる
  • 従ってアタリは小さくなり、横に追い掛ける距離も短くなる

こうなると、釣り方もゆっくりする必要が出てきます。

なるべく横の移動を押さえつつ、小さな餌の動きを演出する釣り方が有効になりますし、アタリも小さくなるので胴突き仕掛けが利に叶っていると言えるでしょう。

再び密度が高まる寒期

寒期にはシロギスが水温の安定する深場に固まりやすく、良い釣果に恵まれる場合があります。

これも密度が高まることによる 確率アップ + 競争心アップによるもの。

さすがに低水温で動き難いので夏場の様な派手なアタリは出難く、追い掛ける距離もそこまで長くはならないので、少し気難しい釣りにはなります。

が、このような点を考慮した釣り方が出来れば釣果を大きく伸ばすことも可能になります。

具体的には、

  • 横移動を押さえつつ
  • 競争心を煽ってリアクションバイトに持ち込む

といったパターンが効きやすくなるだろうと推測できます。

そして、このような動きを演出するには、錘より上に枝スがある胴突き仕掛けを選択するのが最適だろう、といった組み立てをしていきます。

まとめ

今回は、年間を通して行うシロギス釣りの大まかなシーズナルパターンを例に挙げてご説明してみましたが、状況を見極め釣り方や仕掛けを選択する際の指標として “魚の密度” の概念を取り入れると頭の整理がつきやすくなる、というのがお分かりいただけたと思います。

冒頭に触れた、水温、水色、潮流の3つの要素に『魚の密度』という新たな視点を併せて状況分析すること。

これは、前回の記事で書いた、船の動きを考慮した戦略の組み立て方と併せて、釣りの種類を問わず使える実践的な理論です。

参考記事 : 気付けばもっと釣れる!!陸っぱりと船釣りの決定的な違い

もちろんカワハギやその他のテクニカルな数釣りターゲットに応用可能です。

そして、おそらく名人と呼ばれる人達は、具体的に言語化していなくとも、どちらも感覚的、経験的に感じ取って組み立てに利用しているはず。

なので、これを取り入れれば、テクニカルな小物釣りの成績が安定し、もっと楽しくなること間違いなしです!!

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