いち早く「パターン成立」させる為の頭の整理方法
数ある船釣りの中でも、我々が愛して止まない小物の数釣り。
その面白さは何なのか?と問われると、個人的に真っ先に思い浮かべるのが
『パターンフィッシング』
という言葉。
これぞ醍醐味のひとつだと思っています。
上手くその日のパターンを見付けられたら連発!!
楽しすぎですよね。
ただ、最近特に思うことですが、ひとつ勘違いしてしまいがちなことがあります。
それは、
「たまたまこんなアクションをしたら連発!!これってパターン成立でしょ!?」
ってやつ。
確かにこれは楽しいですし、”してやったり” 感満載ですから気分は高揚します。
しかしそれだけではまだ「パターンフィッシング」とは言えません。
と言うのも、パターンには再現性が必要だからです。
辞書によると
パターン = 型。類型。
出典 広辞苑
となっています。
つまり、再現できる型を見出だし、実用化して初めてパターンと言えるわけです。
パターンを見出す際の障壁は自然の多様性
では、その日に見つけた釣り方に再現性を持たせ自分の武器とする、つまりパターン化する為には何をする必要があるのでしょうか?
それを書き出してみると
- たまたま見付けた釣り方の中からキモとなっている要素を抜き出す
- 抜き出した要素を次回以降の釣行時にも当て嵌めブラッシュアップする
- これらの作業を繰り返してパターンとして蓄積する
となると思います。
ただ実際のフィールドでこれを具体的に実践するとなると、ひとつ難しい問題が出てきます。
それが条件の多様さ。
自然と生き物を相手にする釣りでは、状況は千差万別です。
その組み合わせといったらそれこそ無限ですから、手当たり次第、順番に試していたらキリがありません。
なので、何かしらの指標をあらかじめ自分の中で用意しておくことが必要になります。
そこでまず大きな括りとして提唱したいのが、縦軸と横軸による、釣り方と仕掛け操作の基準作りです。
船釣りへの「横軸」と「縦軸」の導入
横の釣り、縦の釣りという言い方は、ご存じの通り主にカワハギ釣りで多く用いられる表現です。
おそらくこれはカワハギが非常に多様な釣り方を必要とするターゲットだからだと思います。
キャストしてボトムを横に誘ったり、縦に仕掛けを操作して宙を狙ったり、時には中層からボトムまでカーブフォールさせたり。
このように、狙う軸と仕掛けの動きをアングラーが自らの操作で多彩に攻略していく釣りは、それまで船釣りの世界ではあまり見られなかった様に思いますが、カワハギという特殊な魚を釣る為の技術が進歩するにつれて生まれてきたものでしょう。
そしてこの考え方は、カワハギ以外の釣りもので新たなメソッドやノウハウが生む可能性を秘めています。
縦軸、横軸を正しく理解
ではまず、軸について正しく理解するところから行きましょう。
図をご覧ください。
これは技術系、工業系、特に機械加工等のお仕事をされている方や、設計、CADの勉強をされた方なんかにはお馴染みの概念ですね。
図の通り、XY軸が平面を表し、Z軸が高さを表しています。
で、これを船釣っぽく訳すと、
XY軸 = 横の釣り
Z軸 = 縦の釣り
という感じ。
取り敢えず分かりやすいように、ここからは「横軸」「縦軸」と呼ぶことにします。
釣りものを軸で分類してみる
ここで、頭を整理するにあたって、大雑把に船の釣りものを軸別に分類してみます。
縦軸中心の釣りもの
- アジ等のコマセ釣り全般
- 太刀魚
横軸中心の釣りもの
- シロギス
- 穴子
- ハゼ
※前述の通りカワハギ釣りに関しては縦と横両方を意識する必要があるので一旦置いておきます。
こんな感じでしょうか?
で、上記の分類で分かるのは、横軸の釣りものが底棲の魚になっていること。
キャストを多用してボトム中心に狙う場合、アクションにXY軸の動きが多くなりますが、もちろん横軸は中層にも存在します。
ルアー釣りでは一定の層にルアーを通してくることが多いので、その際には中層の横軸を意識した操作が重要です。
しかし、こと船釣りにおいてはこのような操作をすることは殆んどなく、中層の横軸はあまり意識しませんね。
誰も意識していないとしたら、意識してみると新たな発見があるかもしれませんが、その辺りについては後述します。
で、縦軸の釣りものは、ボトムから中層までのレンジを狙い、キャストを伴わないのが普通です。
とりあえず、これで非常にシンプルに大きく2つに分類できました。
軸の分類を利用した頭の整理
ではここから本題です。
具体的にどのように頭を整理しておくのか?
ここまでの軸による分類毎に、組み立てに使用する要素を抜き出していきましょう。
縦軸の釣りでの組み立て要素
縦軸の釣りでは、基本的にキャストはせず船下に投入して釣りますので、
- レンジ(棚)
- アクション(誘い)
の2点を組み合わせて釣りを展開していきます。
レンジが合っていれば魚の目の前に餌がある状態が多くなり、アクションが合っていれば餌へのアタックをより多く誘発できます。
複雑に感じる状況も、縦軸の釣りでは基本的にこの2つの要素の組み合わせから紐解いてアジャストしていくことになる訳です。
例≫ 縦軸の釣りを征するにはLTアジ釣りが基本
縦軸の釣りの代表格であるビシアジ釣り、特にライトタックルで行う数釣りでは、レンジとアクションの選択が結果に見事に現れます。
とりわけレンジに関してのシビアさは、大きくて50センチ刻み、シビアな場合は10センチ刻みでの調整が必要。
その調整には、じんわりと聞き上げながら魚の微妙な触りやモタレ、潮流の変化を水流抵抗から読み取る等、微妙で繊細な操作を要します。
したがって、これを理解しているかいないかで、時には数倍の釣果の差にもなってくるんですね。
ちなみに、私はアジ釣りの経験が乏しいので、これは半分以上名人の受け売り(笑)
現在修行中です。
横軸の釣りでの組み立て要素
船の横軸の釣りは、前述の通りボトム中心になります。
なので、レンジについては取り敢えずあまり深く考える必要は無いんですが、代わりに横軸特有の気を配るべき点があります。
それは
- 投入地点
- 方向
- アクション
の3つです。
投入地点は文字通り投入する場所。
方向は、仕掛け操作をする方向を決めること。
アクションは縦軸と同じですね。
レンジの要素が消える分、単純化されると思いきや、意外にも要素が増えて組み合わせがやや複雑になりました。
しかし、投入地点と方向についてはあまり意識していない人が多いようです。
また、アクションに関しても縦軸の釣りではあまり考慮されない「船の動き」という要素を加味する必要性が出てきます。
横軸での複雑さを整理する
では、横軸の釣りの組み立て要素3つについて詳しく見てみましょう。
①投入地点
ルアー釣り等では非常に重要視される投入地点ですが、船釣りでは案外考慮されない傾向があります。
船長が反応を見つけて投入させる釣りものや、コマセを振って魚を寄せる釣りものではあまり必要ない考え方ですが、キャストを多用する横軸の釣りでは重要。
以前の記事で解説しましたが、魚の密度の高い場所に仕掛けを投入できると釣り易くなります。
参考 : 新説!? 魚の密度と釣り方の関係性
なので、これをアングラーが自らキャストをして狙っていけると連発に持込めます。
②方向
これは投入する位置とも関係してきますが、主に
潮の流れに対してどの向きで仕掛けを操作するとアタリが多くなるのか?
針掛かりが良くなるのか?
という問題です。
例えば、船尾側へ向かって潮が流れている状況で、潮下へキャストして引っ張るのか、流れを横切る様に引っ張るのか、といった違いですね。
特に潮の流れがしっかり有る状況では、方向によって簡単に針掛かりしたり、アタリは有るのにさっぱり掛かってくれない、なんて場面も多々。
こういう状況が起こるメカニズムは、魚の頭がどちらに向いているのか、ということに関係しています。
基本的に魚は潮の流れに対して頭を向けて泳ぐ習性がるあるので、潮が効けば魚は一定の方向を向いていると考えられます。
それをイメージして仕掛けを操作する事で餌と魚の遭遇率を上げたり、喰いに来る姿勢や喰ったあとの姿勢をコントロールする事も可能。
例えば、通常の “口に掛ける釣り” ではどんな姿勢が針掛かりが良いのかというと、
下流側から餌を発見しチェイス
→ 餌に追い付き横から餌を吸い込む
→ 咥えたら下流側(元居た場所)へ反転する
→ 自動的に適度なテンションが発生
→ 針が引っ張られて外に出る際に口先や口の中に刺さる
と言うのが理想です。
なので、これを考慮して操作するか否かで釣果に差が生まれるんですね。
③アクション
これには縦軸同様、アングラー側の動作も必要ですが、横軸の釣りの場合これまた特殊な要素が絡んできます。
それは、仕掛けの動きに船の挙動が大きく影響すると言う特有の事情。
例えば、時速1キロで動く船から垂らした仕掛けは、アングラーが全く動かさなければ時速1キロで船に引っ張られて動きます。
これを考慮せず、時速1キロ分の操作をアングラー自らが加えてしまうと、船 1キロ(本来船の速度はノットですが分かりやすくキロでいきます) + アングラー 1キロ =トータル時速2キロと速度が倍になります。
なので、船の挙動を意識した操作を行えるかどうかは、横軸の釣りには必須項目となるんですね。
これについては以前にも詳しく取り上げましたので、併せて参考にしてください。
参考 :気付けばもっと釣れる!! 陸っぱりと船釣りの決定的な違い
例≫ 横軸の釣りを征するならシロギス釣りがうってつけ
これら横軸特有の要素が釣果に非常に大きくに影響するのがシロギス釣りです。
投入地点を考え、仕掛けを引く向きを調整することはもちろん、アクションによる喰いの違いも顕著です。
特に、この釣りを長くしていて分かってきたことですが、シロギスと言う魚は仕掛けの移動速度に対して非常にシビアな反応を見せます。
例えば、潮流や風の影響で船の流れる速度が変わることで、仕掛けの移動速度が変化し、それまで連発していたものがいきなり針掛かりしなくなる、そもそもアタリが減ってしまう、なんてことが非常に多い。
また隣の人と仕掛け操作のスピードがほんの少し違うだけで、明らかなアタリ数の違いが生まれたりします。
なので、「船の挙動に気を配りながら釣りをする」という感覚を養うにはシロギス釣りがとても向いているんです。
アドバンス編!!縦軸に横軸、横軸に縦軸の要素を取り入れる
ここまでは取り敢えず縦軸、横軸とかっちり区分けをして頭の整理をしてきましたが、それぞれで解説した内容は場合によって相互に応用可能です。
例えば、縦軸のアジ釣りでは仕掛けが150~200センチほどあり、潮の流れ方でなびき方が変わります。
併せてコマセの煙幕も潮に流されていきますし、船を流して操船する場合は多少の前後が発生します。
これらの横の動きをイメージすると、喰い棚の変化へやアクションへのアジャストが早くなります。
また横軸のシロギス釣りでは、餌の落下を意識してアピール力を上げる為に、リフト&フォールやカーブフォールを多用したりします。
更に、潮の流れが無い状況であれば、餌が海底に置きっぱなしなるのを防いだり、魚の目の前に餌が来る状態を演出する意味で天秤と錘を浮かせた釣りを展開する、なんてこともあります。
ここまでイメージして組み立てが行える様になると、かなりの精度でパターンアジャストすることが可能になっていくはず。
そして、ここで登場してくるのがカワハギです。
先に述べた通り、カワハギ釣りには縦軸と横軸の要素の両方が必要となります。
それは、カワハギという魚の泳層がボトムから数メーター上まで、状況によって大きく変化するからで、頭の整理が非常に煩雑になり混乱しがちになります。
なので、ここまで述べてきた縦軸と横軸をそれぞれ理解し、整理した上で臨むのがカワハギの攻略には非常に役立ってくるわけです。
まとめ
個人的に、パターン攻略こそが小物の数釣りの一番の楽しみとなっているんですが、近年は ゙たまたま” と ゙パターン成立” との間にある溝を埋める為に延々と試行錯誤を繰り返してきたように思います。
釣りは経験と感覚で上手くなるもの、といった考え方が一般的でしょうか。
確かにその側面は否めませんし、経験と感覚はとても大切です。
しかし、コンスタントに好成績を積み上げ続けるには経験と感覚だけに頼っているだけでは難しい、というのが本音。
特に「条件の分類と頭の整理が欠かせない」と強く感じるようになったのは、ここ5年ほどです。
ここに、きちんとした基礎となるG.F.A(グリップ、フォーム、アングル)を元にして、繊細なロッド操作を行える様になれば鬼に金棒。
おそらく相当なレベルアップとなるはずです。
参考 : 釣果が安定しない人必見!!基礎固めでこっそり上達!?
もちろん一部の天才はこんなことを度返しして、ナチュラルに全てをクリアしてしまうのかもしれませんが・・・(笑)
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