革命!!速攻のLTアジ釣り『ライン引き』と『喰い芯』とは何だ!?
当たり前ですが、天秤にコマセかごを付けて、それを効果的に撒きつつ魚を釣る、というのがいわゆる『コマセ釣り』です。
したがってこれらの釣りでは、自然とこのコマセを振る動作、及びそれにまつわる棚取りとロッド操作に関心が集まります。
つまり “コマセワーク” ですね。
これは代表的なコマセ釣りのひとつであるビシアジ釣りでも同様。
おそらくほとんどのビシアジの釣り方に関するハウツーでは、コマセ周りの解説に終始しているかと思います。
もちろんコマセの存在がポイントであることは間違いないですし、重要だと思います。
ただ、ここでひとつの疑問が浮かびました。
それは、アジを釣るための要素ってコマセ周りのこと以外に無いのか?
というもの。
コマセを使わない釣り、例えばカワハギやシロギス、太刀魚等で重要視される『餌の動き』という視点が、なぜかアジ釣りではスッポリと抜け落ちていたな、と。
水深が浅くなりビシも軽くなったライトアジ釣りでは、深場で130号のビシを使いインターバルの長い釣りをしていた時代とは違う新たな視点での組み立てが必要なのではないか?
特に、当工房のライトアジの専属テスターであり、私のアジ釣りの師匠である工藤氏に教えを乞う度、この視点の重要性が浮き彫りに。
更には棚取りの考え方自体が従来とはまるっきり違うという事実も浮上。
そんな師匠の実釣解説動画もご用意しましたので是非併せてご覧ください!!
また、前回のライトアジ釣りの記事にも今回の内容に繋がることを書いています。
そちらもお読みいただくと、より分かりやすくなると思います。
関連記事 : ライトアジ釣果倍増計画!!名人の技に深く切り込んでみた。
ということで、今回はかなり衝撃的な内容となっておりますが、最後までお楽しみください!!
従来のコマセワークを中心に据えたテクニック論の限界と落とし穴
撒いたコマセに寄った魚を釣る、というのがコマセ釣りの最も根本的な部分。
ですが、これを中心に据えてるいと、とにかくコマセはたくさん撒いて自分の周りにアジを寄せてやれば良い、となりがちです。
そして従来のコマセワークの解説では、
- コマセを撒く → 煙幕が広がる
- 広がった煙幕にアジが寄る
- その中に付け餌が漂っていきアジが食い付く
といった感じです。
が、コマセ釣りの仕掛けの基本構造は天秤の先に長い仕掛けが吹き流しで付いている、というものですよね。
しかも仕掛けの長さはだいたい2メートル前後。
ですから、実際にこれがどこまで思った通りに潮になびいて付け餌が漂うのか?
これを読むことは結構難しいと思うんです。
もちろん、しゃくりを入れた直後や、一定の時間を置いた後に仕掛けが潮に馴染んで落ち着いた状態は想像しやすくなります。
例えばしゃくった際には、その動きの分だけ餌が引っ張られてスッと動きます。
また最終的に仕掛けが馴染んだ状態では、潮が全く流れていなければ仕掛けは天秤の先から下に垂れ下がっているでしょうし、潮が速ければ真横前後になびいているでしょう。
そしてここに達するまでの大まかな仕掛けの軌道を想像することは可能です。
しかし、この状態が分かっていても、それで果たして素早いコマセとの同調が可能なのか?と問われると甚だ疑問。
撒いたコマセの軌道と動かした後に馴染むまでの付け餌の軌道がどこまでぴったりと想像できるのか?
そしてそれをピタリと同調させることが果たして百発百中でできるのか?
付け餌は潮任せ、自重任せでそこそこの距離を移動するわけですし、不確定要素がかなり大きい。
これはなかなかの難問です。
更に言えば、ライトアジ釣りでは多くの場合 “数釣り” が重要視されますから、いかにアタリを早く出して掛けるか?が求められてきます。
この場合、仕掛けがゆっくりとなびいて伸びきりコマセと同調してからが勝負、という大物狙いの様なインターバルの長い釣りになることはあまりありません。
現に、1日船で200尾とか300尾なんて物凄い数をコンスタントに釣ってくる名人達は『コマセを撒いて棚を取り、同調するのを待ってアタリが出て~』とのんびりやっていているわけではない。
そうでなければ、時間的になかなか2束を越える数は出せません。
とにかくアタリをなるべく早く出すこと。
これを突き詰めていくと、上記のような “いわゆるコマセワーク” に囚われて先に進めなくなります。
これが『従来のコマセワーク』中心のテクニック論の限界であり、囚われ過ぎることでかえって落とし穴にはまってしまっているのではないか?と考えたわけです。
他の釣りからイメージを膨らませてみる
コマセワーク中心の考え方の他に視点を持つためには、他の釣りの考え方を参考にするのが早道です。
例えば太刀魚。
東京湾の天秤による太刀魚釣りは、コマセビシが付いていないことと、付け餌が鯖やコノシロの切り身であることがアジとは大きく違う点。
しかし、天秤が有ってその先の仕掛けが2m前後である等、ライトアジ釣りとの共通点も多いです。
そんな道具立てが似ているこの釣りですが、釣り方の基礎的な考え方はライトアジとは全く違ってアクションを基盤にしています。
しゃくりのパターンを中心に釣りを組み立てる。
つまりキモとなるのは餌の動きです。
しゃくった瞬間に餌がスッと動き、そして止めたところからフォールし、次のしゃくりでフッキングする、とかね。
もちろん潮にもなびきますが、それを待って向こうアワセでアタリが出るようなイメージはあまりありませんし、ビシが無いので付け餌を同調させる概念もありません。
しかしコマセは無くとも餌のアクションで魚はしっかり追いかけてきてくれるのです。
同じアジ釣りで言えばアジングも同様。
ルアー釣りですから基本的にアクションで食わせます。
リトリーブ、トゥイッチ、ステイ、フォール、更にそれらアクションを行うレンジの読み等。
同じ魚ですが、当然これらの要素が食わせるためのポイントになっているのは疑いようがありません。
そして、コマセが無くてもパターンがはまれば連発しますし、活性が高ければワームを引ったくっていきます。
昨今ではライトアジ船でのバチコンも行われており、より身近にアクションで食わせるアジ釣りを見ることができそうですよね。
更に言えば、カワハギ釣りの『誘い掛け』という概念はこれらにとても近いものがあります。
参考 : カワハギ釣りに悩んだらまずこれをやれ!!最強メソッド『誘い掛け』とは!?
この様に、コマセを使わない釣りの考え方を取り入れることで、従来言われているコマセワークから敢えて一度離れてみる。
これまでの固定観念を捨てて、別の視点で組み立てを行うことで更に上のレベルに達することができるのではないか?
そんな風に考え実践を行っていますが、これによりかなりイメージ通りアタリを出して掛けていくことができるようになった、と実感しているところです。
具体的には
- とにかくアタリを早く出すことを心掛ける
- 餌の動きをイメージできる範囲で勝負する
- イメージ出来ない状況で出たアタリは再現性が低いので深追いしない
の3点に留意。
もちろん、常にこれが効くとは限りませんが、このように頭を切り替えていくことで打開できる状況が必ずあります。
ビシの軌道に仕掛けを通す『ライン引き釣法』
前項で従来のコマセワークのイメージから頭を切り替え、仕掛けと餌のアクションに視点を移しました。
とはいえ、コマセにアジが寄る事実はやはりこの釣りから外すことはできません。
そこで、ここからは新たなコマセワークの考え方『ライン引き』にシフトしていきます。
そもそも『ライン引き』とはなんなのか?
まずは概要を簡単に説明します。
従来のセオリーでいえば、決まった棚で撒いたコマセは、その場のみに撒かれ雲のように
流れつつ広がっていくイメージ。
しかし、コマセを点で撒くのではなくロッドの適切な弾力を使ったスウィープなしゃくりで線を引く様に撒き、更にこれにより出来上がったライン状の煙幕の中を仕掛けが通ってくるイメージで操作してやる。
これが当工房のライトアジ専属テスターの工藤氏が考える『ライン引き』です。
ここで重要なことは、コマセの煙幕は撒いた瞬間が最も濃く、アジはこの濃い煙幕目掛けてより高い密度で寄るということ。
そして撒いた後の煙幕は時間経過とともにどんどん拡散して薄くなる。
ですからコマセを撒いた直後こそがアジにスイッチが入る瞬間であり、ここに仕掛けを素早く同調させればアタリの出るタイミングは必然的に早くなる、と言うわけです。
この辺りの概念は以前の記事でも触れていますが、これを最も効率よく行える具体的な方法論が『ライン引き』なのです。
点で撒いたコマセに一瞬でピタリと付け餌を入れるのと、ラインを引いた中をスーっと通してくるのと、どちらが再現性が高いか?
言うまでもないと思いますがいかがでしょうか?
もちろん、天秤の存在によりビシの軌道と仕掛けの軌道には20~30センチ程度のズレが生まれます。
潮が効いていない時間ほど軌道のズレが埋まり難いのでアタリ出しまでに時間が必要になり、潮が流れていれば軌道のズレは埋まりやすくなります。
この差をしゃくり速度と幅、ステイ時間の操作、天秤のチューニングや使い分けで調整し、なるべく早くアタリを出すようする。
ここまでできればライン引きのイメージはほぼ完成と言っていいでしょう。
棚 =『喰い芯』
数字による棚取りをやめてみる
今回の、もうひとつの目玉『食い芯』の入口は、
“従来の数字による棚取りをやめてみる”
ことから始まります。
いやこれ、普通のコマセ釣りの考え方からすると結構衝撃的だと思います。
とは言え無茶を言っているわけではありません。
きちんと論理的な話ですのでご安心ください。
順を追って説明します。
まず前提条件として、アジが食ってくるレンジをいち早く見つけてそこに餌を入れ、適切に付け餌を見せてやることができればよく釣れるというのは自明の理でしょう。
前述の通り、アジング等から類推すればコマセすら不要かもしれません。
このレンジを仮に『喰い芯』と呼びましょうか。
そもそもアジに棚があるのは一定のレンジに潮の流れがあるためです。
その流れに沿って餌(プランクトンや釣りをしていればコマセ)が留まったり流れていったりするわけで、これを目当てにアジが集まる = 棚が形成される、ということと考えられます。
なので、アジが食う場所という意味ではこの流れは『棚』と同義ですが、ここからは敢えて区別するために『喰い芯』とします。
というのも海底には起伏があり、潮の流れはその地形の影響を受けて変化しているからです。
したがって厳密には「底から◯◯メーター」という一律の数字で表されるいわゆる『棚』で止めてやれば良いわけではないのです。
ですから自分が釣れている際に離れた席の仲間に「棚は何メーターか?」と聞かれ、カウンターの数字を見て答えたとしても、仲間の釣り座での喰い芯が自分と同じとは限らない。
これは逆に言えば、『喰い芯』さえ探せる様になってしまえば究極的にはリールの水深カウンターの表示やPEラインの目印はライトアジ釣りには不要である、と言い替えることもできます。
これが当工房のテスターである工藤氏の『喰い芯』の考え方です。
ではその『喰い芯』はどのように探るのか、そしてそれを基にどう組み立てていけば良いのか?
次はそれを考えてみましょう。
『喰い芯』を感じ取って組み立てる
前項では『喰い芯』とは一定のレンジに存在する潮の流れだ、と述べました。
潮が流れているということは、水流抵抗が変わるということ。
実際にビシをしゃくっていてあるレンジに差し掛かると重く感じる、なんて経験はないでしょうか?
そして、そこに入るとすぐにアタリが出たりしないでしょうか?
あれが『喰い芯』です。
より詳細に喰い芯を見極めるには、着底からビシを持ち上げていき、重くなる、若しくは穂先がモタレる位置を見つけます。
更にそのまま持ち上げていくと水流抵抗が無くなる位置で重さが抜けたり、穂先のモタレが抜けたりします。
もちろんこの位置を見つけた時に、目安として数字(カウンターやラインの目印)を使用すると効率は良くなります。
が、数字自体を合わせることが核心では無い、と言うところが大切。
この『喰い芯』に付け餌を入れてやったり、適切な速度でそこを通過させてやったり、というのがアタリを作るキモ。
従来のコマセワークでは、ビシを振って出たコマセの煙幕に付け餌を入れる、というのがセオリーとされます。
しかし先に述べた様に、数字による棚取りをし、一定でない流れの中でコマセの軌道と付け餌の軌道を同時にイメージして同調させるのは至難の業です。
それよりも確実に流れが発生している喰い芯のなかでコマセを振り、そこへ付け餌を素早く持ってくる。
これなら付け餌はかなりの確率でコマセと同調してくれますし、そもそも喰い芯にはアジが多く寄っていますから食いが良いはずです。
そうなれば、仕掛けをなびかせてやらずとも良いかもしれない。
例えば、喰い芯を一定の速度で通過させてやったり、跳ねあげたところから流れの上に向かってフォールさせてやったり。
こんなアクションによる釣りの組み立てもしやすいですよね。
この様に、喰い芯を基準に据えると不明瞭な長い軌道や長いインターバルを頑張って想像しなくてもよくなり、自分で見つけた流れをピンポイントで攻めることが可能になるのです。
ちなみに、喰い芯の位置や幅は時間とともに変化しますし、また複数存在することもあります。
例えば底から1メーター付近に50センチの幅でひとつ、更に上の3メーター付近に30センチの幅でひとつ、といった具合。
このうちどちらの喰い芯がより効率良く、且つ良型が揃うのか?
これらのこともサーチしながらリアルタイムで釣りを組み立てていきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事はライトアジ釣りにとって革命的な内容かもしれせん。
少なくとも私はこれまでに、このような考え方を見たことも聞いたこともありません。
衝撃を受ける方も多々いらっしゃるかと思いますし「そんなの嘘だろ」と言われる方も居るでしょう。
ただ、事実としてうちのテスターである工藤氏は、この組み立てでいつもとんでもない数字を叩き出していますから、まずは実際にこの理論で釣りをしているところをご覧いただくのが最も分かりやすいかと思います。
何十年という研究と徹底した検証を繰り返してこのようなセオリーとメソッドを生み出すまでに至っているわけで、その理解の深さは特質すべきものがあります。
私も、この理論を教わり具体的に指南を受けるまでは、横で見ていても何をやっているのかさっぱり理解できませんでしたし、未だに勝てる気がしません。
そんな革新的なセオリーについて、正直どこまで公開して良いものか?とこの記事を書きながら考えていたわけですが、そこがまた氏の懐の深さ。
なんと公開することを全く厭わないというのですから。
そんなわけで、ライトアジ釣りの革命とも言える今回の『ライン引き』と『喰い芯』による組み立て方法を総称して『工藤流 LTアジ速攻メソッド』と名付け、師匠に敬意を表したいと思います
P.S.
ところで、動画で使用している当工房の究極のライトアジ専用ロッド『LTアジ斬-ZAN!!-』(今春(2022年)に発売予定)は、この『ライン引き』のしやすさと『喰い芯』の察知をより簡単に行えるように、というコンセプトで工藤氏の完全監修により設計されています。
実はこれについては、以前のライトアジの記事でも少し触れていましたが、その精度はテストの度に確実に精度を上げ、素晴らしい仕上がりを見せています。
そしてロッドテストを繰り返しながら、私も実際に速攻メソッドを実践することで誰も釣れていない渋い時間に速いアタリを出せる様になり、自己記録を更新中です。
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