【カワハギロッドは穂先素材で決めろ!!】ロッドビルダーが教えるカワハギタックル選び ~前編~
「カワハギ釣りもそこそこの回数こなしたし、そろそろエントリーモデルじゃ飽きたらなくなったなぁ」
「何本かのロッドを使い分けると良いと聞いたけど、具体的な使い分け方がピンとこないんだよな」
「ロッドはなんとなくフィーリングで持ち替えてるけど、いまいち替えどころがわからない。でも今更そんなの聞けないよ」
この記事はそんなカワハギ師のあなたにうってつけです。
かつてカワハギ釣りに悩み抜き、数十本のロッドを購入して研究、ついにはロッドビルダーになってしまった私が、作り手ならではの客観的な視点でロッド選びについてお伝えしていきます!!
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現在、カワハギの専用ロッドは、その調子や材質がかなり多岐に渡っていて、釣り人にとってもチョイスの幅が広がっています。
が、それがかえって迷いの元になってしまうことも・・・・
もちろん初心者の頃はフィーリングで選んだり、身近な人のオススメだったり。
ネット上でもエントリーに向けたアドバイスは検索すればたくさん出てきますしね。
で、問題はそこから先。
レベルアップしたい時、何を基準にロッドを選べば良いのかわからない・・・
とりあえず新製品に順次手を出してみる、というのもひとつの楽しみ方ですが、それではキリがありません。
釣果を向上させるためのロッドの使い分けも、これまた難題。
金額の張るロッドですから、なんとなく数種類を揃えるのではなく、なるべく賢いチョイスをしたい、と思うのが普通でしょう。
また、実際に船に数本のロッドを持ち込んでいても、何を基準に使い分ければ良いのかが今ひとつわからない、なんてことも多いですよね。
そんな悩めるカワハギ師のあなたにむけてカワハギロッドのチョイス法を2つの視点から前後編でお伝え!!
前編のお題は【穂先素材】です。
カワハギロッド選びは穂先素材から入れ!!
ロッドの作り手である私がカワハギロッドをチョイスする時にまず第一に考えるのは『穂先の素材』です。
と言っても、メーカーさん各社が名づけた『〇〇テクノロジー』とか『△△コンセプト』とかいうような難しいことは不要で、現在カワハギロッドの穂先を構成する基本的な素材の特性を知るだけで大丈夫です。
その基本的な素材とは
『カーボン』『グラス』『チタン合金』
の3種類。
これら素材の使い方に各社のこだわりとコンセプトが盛り込まれています。
つまり、穂先の素材視点でチョイスを開始することは、そもそもそのロッドのコンセプト = そのロッドが何を意図して作られているのか?ということに直接的につながっているんです。
最も効果的な使い方、つまりそのロッドの持つポテンシャルを引き出して使いこなす。
これができればおのずと釣果は向上するはず。
それが作り手から見た賢いロッド選びの入り口なんです。
※ちなみに市販のカワハギロッドの場合、穂先以外の部分にはほぼ100%中空のカーボン(カーボンチューブラー)が使われていますので、ここでは一旦置いておきます。
穂先の素材3種の比較
カワハギロッドの場合、穂先には他の釣りでは考えられないような急激な曲がりを要することが多く、これを中空のブランクスで表現することは困難。
なので、ほとんどのカワハギロッドがソリッド(無垢)素材を削り出した穂先を搭載しています。
そしてこのソリッド穂先には、前述の3種の素材が、それぞれコンセプトに合わせて使用されています。
ではまず、それぞれの素材の特徴を表にまとめてみましょう。
で、この表からそれぞれの利点だけを抜き出して言葉にしてみると
- カーボンソリッド
圧倒的に手感度に優れる
非常に軽い
- グラスソリッド
目感度アタリを表現しやすい
アクションを演出しやすい
折れにくい - チタン合金
目感度アタリを表現しやすい
アクションを演出しやすい
とても折れにくい
となります。
すると、ここで意外な点に気付きます。
そう、グラスソリッドとチタン合金の利点は基本的には同じということ。
もちろん細かい違いはありますが、方向性は同じなのです。
ですから、カワハギロッドのキャラクターを把握するには
穂先素材が[カーボンソリッドなのか?][グラスソリッドorチタン合金なのか?]のふたつの方向
で考えると、とても整理しやすくなります。
カーボンソリッド穂先は手感度に優れる
先ほどの表にあるように、カーボンソリッドの利点は軽さと手感度シグナルの伝達の良さです。
と、ここで基礎知識。
ここでいうカワハギの手感度は単に手に伝わるアタリ全てを表しているのではない、ということを強調しておきます。
カワハギの手感度とは、穂先は一切動かないが手元に伝わるカサカサ、カリカリ、チッなどの微細な振動 で、これを『狭義の手感度』= 擦過シグナルと呼ぶことにしています。
通常、手感度というと手に伝わるアタリを全ての総称、と思ってしてしまいがちです。
が、これだと釣り人それぞれの主観が入りすぎているために、この言葉が差しているシグナルが個々人で違いすぎて話が通じません。
わけがわからなくなってしまうので、まずこの点を以下の記事で確認してください。
参考 : カワハギ釣り上達に!!『誘い掛け』マインドの必要性
では、本題に戻ります。
カワハギ特有の手感度アタリである『擦過シグナル』はカーボン穂先の素材によりロッドに入力されます。
つまりこれは素材の特性そのものに大きく依存するシグナルだ、ということです。
したがって、擦過シグナルを取って掛けていく状況 = 擦過シグナルの釣りがハマる状況 にはカーボンソリッド穂先搭載のロッド一択となります。
なお、軽さに関しては、確かに操作感は若干変わってきますが、ロッド全体に占める穂先部分の割合が低いのでさほど大きな利点とはなりません。
グラスソリッドとチタン合金の誘いやすさ
グラスソリッドとチタン合金の利点は
- 折れにくいこと
- その柔軟性からさまざまな誘いの操作を演出しやすいこと
- 目感度を表現しやすいこと
の3点と述べました。
このうちの二つ、 “アクションのしやすさ” ”目感度の表現のしやすさ” は、折れにくいことと切り離せない関係です。
というのは、折れにくいことで大胆なアクションを躊躇なく行いやすくなり、折れにくいことでより細く仕上げられるからです。
例えばカワハギ釣りでは定番のタタキなどのアクションを行うとラインに弛みが出て穂先に絡みやすくなります。
なので軽く絡んだ程度で折れる脆い素材はあまり向かない。
アクションを主体に考えるなら、粘り(靭性)があり折れにくい材質がより向いています。
作り手からの視点では「折れにくいから色々な調子の設計にチャレンジしやすい」ともいえますね。
アクションしやすくて目感度に優れるという特徴から『誘い掛け』と『目感度』のコンビネーションで釣っていくのが向いている素材というのがお分かりいただけるでしょう。
なお、素材の重さに関しては、使っているとフィーリングの違いはありますが、こちらもカーボン同様にあまり機能面での違いには繋がりません。
まとめ
ということで、今回は前編としてカワハギロッドのチョイスを穂先素材の面から見てみました。
この素材視点、カワハギロッドを選ぶ上での頭の整理に非常に役に立つものだと思います。
そしてこのような知識は、得てして個々人の感覚に頼りがちなカワハギ釣りにおいて、客観性を保って判断するために欠かせないものです。
これから新しいロッドを揃えたい人や、複数あるロッドの使い分けに悩む人のヒントになれば!!
是非素材を意識して使い比べてみてください。
なお、後編はロッドの調子からひも解いてみたいと思います。
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