【LTアジ】ライン引き釣法について更に突っ込んで解説してみる
ライトアジ釣りの画期的なメソッドである『ライン引き釣法』。
これを一言で表すと
ライン状に出したコマセの煙幕に仕掛けを通してくる
ということになります。
参考 : 革命!!速攻のLTアジ釣り『ライン引き』と『喰い芯』とは何だ!?
コマセと仕掛けが同調するのを半ば潮任せにじっと待つ、というのが従来の教科書的なLTアジ釣りの考え方ですが、これだとどうしてもアタリが出るまでに時間が掛かりがちです。
そこで、積極的にコマセの煙幕の中に仕掛けを入れて自らアタリを作り出し回転を上げて数を伸ばしていく、というのが『ライン引き釣法』の考え方です。
しかもこれ、動作さえ出来てしまえば意外と簡単に再現可能。
ですからO.F.F大西釣具工房では、ライトアジ釣りの基礎的な動作を『ライン引き』の観点から再構築したいと思っています。
実際にいくつかのポイントを守ってライン引き釣法を行うことで、アジ釣り初心者の方でもすぐに平均以上の釣果を叩き出せるようになっています。
ということで、今回はそんな強力な武器となるライン引きについて、更に踏み込んで解説していきます。
シャクらなくてもコマセは出ている事実を再認識する
まず大前提の見直しから。
ライトアジ釣りのコマセビシは目の荒いカゴ状ですから、イワシミンチは常に海水に触れていて、極端な話、ロッドをシャクる動作を入れなくてもコマセは少しづつ溶け出しています。
特にイワシミンチを詰め直してすぐの投入では、ビシが落下する動きと持ち上げる動作だけでも彗星の尻尾の様にコマセが出ます。
事実、アジの活性が高い場合にはこのコマセの帯を利用することで、余計な動作を行わずに即アタリを出すことも可能です。(後述)
が、この事実は案外見落とされていて、多くの人が「強いしゃくりの動作をした際にのみ煙幕が発生している」と考えてしまいがちです。
これは従来の解説のほとんどが、「コマセワーク=しっかりとしたしゃくり」という前提に立っているから仕方ないのでしょう。
しかし『ライン引き釣法』では、この考え方に捉われず、ビシの動きとコマセの出かたを改めて検証しコマセワークを再構築しています。
これにより、コントロールの幅が広がり、自在にアタリを作り出すことが可能になるのです。
ふたつのコマセワーク「点で撒くか線で撒くか」
前述のとおり、ビシの落下時にはその速度によってコマセの尾が線状に引かれていますし、持ち上げる動作でも同様に線が引かれます。
これはつまり一定の速度でビシが動く時、線状の煙幕が発生するということ。
また、一点で行う強く素早いしゃくりの動作では、点状の濃い煙幕を発生させます。
そしてアジは均一に引かれた線状の煙幕には広く均一に寄り、濃い小さな点ができればその点に密集します。
これをまとめると
一定の速度でビシに直線的な動きを与えるとコマセは線状に撒かれて面積の広い煙幕ができる。
これで付け餌は煙幕に入りやすくなるが、煙幕の濃さは均一でやや薄め。
一点でギュッと強くしゃくってコマセを撒けば濃い点状の煙幕ができる。
濃い一点に多くのアジが集まれば餌の取り合いが生まれる = アタリはより早く大きく出る。
反面、煙幕の面積が狭いので付け餌を同調させるのが少し難しくなる。
となります。
この認識が2種類のコマセワークをコントロールするための土台であり『ライン引き釣法』の肝になる部分です。
これらを状況に合わせて上手く使ってアタリを早く出し、簡単に食わせようと言うのが『ライン引き釣法』の考え方になります。
次からそれぞれ具体的にみていきましょう。
点を作らずに均一な線を作る【ライン撒き】
点を打たずに均一な線を描くイメージで行うのが【ライン撒き】です。
具体的なアクションとしては、段をつけないスウィープなしゃくりを20〜50センチ程度の幅で行いながら、上へ上へと探っていきます。
ここでの注意点はしゃくりアクションの終点。
速く強いしゃくりを行うとビシに慣性が働くので、動作を急激に止めると終点でカクンと段がつきドッとコマセが出て濃い点が発生します。
前述のとおり、煙幕に濃い部分ができるとアジの寄りはそちらに集中してしまいますから “なるべく均一になるように” がコツ。
これが上手くできていると極端な話し、ラインを引いている最中にアジが勝手に掛かってしまう、オートマチックな状態となり、こちらも入れ食いが堪能できます。
また、ラインを引きつつ同時に付け餌を煙幕に入れてしまうことができるので潮の有無に関わらず非常に有効なライン引き釣法の動作と言えます。
更に【ライン撒き】は動作がゆったりしていて力もあまり必要になりません。
腕への負担が少ないため、体力の温存にもなりますし、腕力のない方にも向いています。
ですから最初はまず【ライン撒き】からマスターするのがおすすめです。
具体的な動作は『ライン引き釣法』の発案者であるO.F.F工藤テスターのデモ動画を参考にしてみてください。
なお、「均一なビシの移動により煙幕を帯状に引いてくる」という観点で考えると、そもそもしゃくりの動作を行わず、リールを速巻きするだけで【ライン撒き】を再現することもできます。
例えばビシが着底したら糸ふけを取り、リールを素早くギュギュッと巻くと、ビシに当たった水の抵抗でライン状の煙幕が引かれます。
これによりリールの巻き取り量にもよりますが、4〜5回転すれば概ね底から2メートル程度のラインが引け、ほぼ同時に仕掛けがその煙幕の中に入って至極簡単にアタリが出るわけです。
もちろんもっと長く、例えば10回転すれば5〜6メーターのラインを引くことも可能です。
ちなみにこれは、主にアジの群れがとても濃い場合に非常に有効になるパターンのひとつ。
やり方さえわかっていれば、こんなに簡単な釣り方はありませんし、体力も消耗しない超省エネ釣法です。
濃い点を複数作り線にする【トゥイッチ撒き】
先にも述べたとおり、点状の濃い煙幕をひとつだけ作っても付け餌との同調は難しくなります。
しかし、濃い点をいくつも作って線状に並べていけば付け餌との同調は一気に簡単になります。
具体的な動作は、穂先が跳ねるようにツンッと短かく強めのしゃくりを入れたらリールのハンドルを4分の1〜2分の1回転。
これを何度も繰り返してと次々と濃い点を打って直線状にしていきます。
このコマセワークを【点撒き】、もしくは、ツン、ツンと連続で穂先が跳ねるような動作がルアーアクションでいうトゥイッチそのものなので【トゥイッチ撒き】などと呼んでいます。(※以降トゥイッチ撒きで統一します)
濃い点にアジを密集させつつも多数の点を打つことで付け餌の同調も容易になるため、ハマると非常にアタリ出しが早くなり、入れ食いが味わえます。
ただ、次々に点を打っていく動作には素早さが必要なのでやや難易度が上がります。
また、潮が速い状況では瞬時にコマセが流れて行ってしまい点を直線状に並べるのが難しくなる側面もあります。
『ライン引き釣法』に適したロッドとは?
『ライン引き釣法』をマスターする上で基礎になるふたつのしゃくりアクションを紹介しました。
そして、当然のことながらこれらのアクションには適したロッドというのがあります。
ロッドによるビシの動きのコントロール性能を考えてみると、
- 【ライン撒き】不必要にビシが跳ねない柔軟性
- 【トゥイッチ撒き】敢えてビシを跳ねさせる張り
の2点が必要になります。
ビシが跳ねない、でも操作によっては跳ねさせることも可能。
相反する性能ですからなかなかの難題です。
これを可能にするのが、バット部のパワーと穂持ちから穂先にかけての適度な柔軟性。
O.F.Fではこのふたつの操作を一本で行えるロッドとして、ライトアジ専用ロッド『LTアジ斬-ZAN!!-』を工藤テスターと一緒に開発しました。
どんなロッドでも手練れが使えば問題なく操れると思いますが、やはり道具はなるべく釣りを簡単にしてくれるのが理想ですからね。
もちろん、ライン撒き用にはスローアクション、トゥイッチ撒き用にはファーストアクション、と違う調子のロッドを使い分けるのもとても有効です。
ロッドを使い分ければ新たな発見もあり、楽しみ方も倍増すると思いますから、これからはライトアジもそういう時代になるはずです。
『ライン引き釣法』でのビシのチョイス
前回の記事でも少し触れていますが、コマセのラインを均一に引くために、ビシが潮を受ける抵抗を利用するのはとても有効な手段です。
参考 : 【ライトアジ】エキスパートの道具と考え方
例えば潮がほとんど流れない状況では、しゃくりの終点でビシが跳ねやすいです。
トゥイッチ撒きを行うのであれば問題ありませんが、ライン撒きをするには少し不便。
そこで、少しシルエットの太いビシで抵抗を受けやすくしてやると、潮受けが大きくなり簡単に跳ねを抑えることができるようになります。
ビシの使い分けは、網目の大小によるコマセの出かたにばかり目が行きがちですが、このようなチョイス方法もあるんですね。
なので、シルエットの違うビシをいくつか揃えておくと便利です。
まとめ
ということで今回は、速攻メソッドの中でもマスターしやすくてすぐに釣果向上を実感できる『ライン引き釣法』について、より詳しく突っ込んでみました。
『ライン引き釣法』にはふたつのコマセワークである【ライン撒き】と【トゥイッチ撒き】があることをご理解いただけたかと思います。
まずは工藤テスターの動画を見て動作を真似てやってみるだけでも効果絶大。
きっとこれまでとは違う『攻めのライトアジ釣り』の楽しさを味わうことができるはずです。
そしてそれらを上手く使い分けることができれば釣果倍増は間違いありません。
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