新発想の『攻めるLTアジ仕掛け』とは何だ!?

この記事はYouTube動画とも連動しています。

 

LTアジといえば東京湾で人気No.1を誇る釣り物。

その手軽さと安定した魚影の濃さで入門にも最適なのは言うまでもありません。

しかしこの「入門者向け」というワードが禍いしてか、言い方はあれですが「単純で深みが無い」といった方向に捉えられてしまうことがある、と言うのも事実のようです。

もちろん実際には「非常に奥が深く探求し甲斐のある釣り物である」というのはこの釣りのファンからすれば当たり前で、逆にここまで上級者との差が明確になる釣りは、実はそんなに多くないのです。

ですが、ここが意外と伝わっていない。

そんな認識の一端は道具の部分にも表れています。

そのひとつは専用ロッドの少なさ

最も集客力のある釣り物であるにも関わらずLTアジ専用のものは圧倒的に少ないんですね。

これについては、超マニア向けにハイスペックな専用ロッドをリリースすること、そして新たな『攻めのLTアジ』という考え方と具体的な釣法を世に出していくことで、少しでもシーンを盛り上げようというのがO.F.Fとしての取り組みの一環となっています。

天秤に関しては先日、サニー商事さんから「ハイブリッド天秤-LT-AJI」という専用の天秤が 発売されました。

 

商品リンク : サニー商事ハイブリッド天秤-LT-AJI

 

これにはO.F.Fとしても監修に参加させてもらっており、攻めの釣りにはとても相性の良いものが出来上がっています。(オススメですよ)

 

そしてもう一方の課題が、仕掛け周りのイノベーション。

簡単なものとしてはライト化に併せた細ハリスの仕掛けでしょう。

これはまぁ、ビシアジ仕掛けの構造はそのままに単に細糸にするだけで良いので、ある意味で誰でも思い付くものと言え、既に多くの人が行っているところ。

イノベーションではなくバリエーションの範疇といった感じですね。

 

参考記事 : 【仕掛け工夫の優先度】囚われ過ぎに注意!!

 

しかし、残念なことにLTアジ釣りが始まって20年余りで行われた改良はこれくらいで、もはややり尽くされた感がありました。

 

 

シロギス仕掛けからの応用で目からウロコの攻めの仕掛けが完成!

と、これ以上イノベーションの余地が無いかに思えたLTアジの仕掛けですが、ヒントは意外なところにありました。

それはシロギスの『振り分け仕掛け』です。

そもそも振り分け仕掛けとは東京湾の船シロギス愛好者の間で使われているもの。

構造としては長短のハリスを天秤にそれぞれ直接取り付けてしまう方法です。

この仕掛けの転用は船シロギス好きの私の思い付きから始まったもの。

正直、使う前には仕掛け長によるトラブルの多発を予想していました。

しかし思いの外絡まないことがわかり、そこからは工藤テスターと一緒にテストの繰り返し。

そうして感じたことは、この仕掛けの構造が総じて「攻めるスタイルに非常にマッチしている」ということでした。

 

 

LTアジでの振り分け仕掛けの利点

では、ここで振り分け仕掛けの利点について掘り下げてみましょう。

まず利点を列挙すると

・細ハリスに向いている

・ダブルを狙いやすい

・組み合わせの自由度が高い

の3つで、これはハリスそれぞれが天秤に直接接続されている、という構造上の特性からくるものです。

 

・細ハリスに向いている

テストしていてまず実感したのがこの点。

1〜1.5号といった細ハリスでは、これまで良型のアジがダブルで掛かるとハリスの強度に少し不安がありましたが、振り分け式ではその心配がかなり軽減されるのです。

その理由は単純で、ハリスに掛かる負荷が1匹分だけだから。

実際、25センチを超えるアジがほとんどのポイントで、クッション無し、1号ハリスの振り分け仕掛けを使用し一度も切られずに1日通したことは多々あります。

※細仕掛けの効果云々についてはまた別の機会に取り上げる予定なのでとりあえずここでは置いておきますね。

 

・ダブルを狙いやすい

また振り分け仕掛けでは、先に掛かった魚の動きが一方のハリスに影響し難いと言う特徴があり、これがダブルの狙いやすさに繋がっていきます。

LTアジでは、コマセの煙幕に付け餌をいかに早く入れてやるかがアタリを出す鍵になるわけですが、先に掛かった魚が泳ぎ回ることで意図した位置から仕掛けがズレてしまってこれを阻害してしまうことがあります。

もちろんこれは、高活性時にはそれほど気にならないポイントですが、少し気難しいアジを相手にしている場合には、ほんの少しコマセの煙幕から付け餌が外れてしまうだけで全く反応しなくなることはザラ。

そんな時に先に掛かった魚の動きが影響し難い構造の振り分け仕掛けが役に立つわけです。

 

・組み合わせの自由度が高い

枝ス式の仕掛けでは、例えば状況に応じて上針だけ、もしくは下針だけの種類やサイズ、ハリス長を変更するというのが難しかった。

もちろんいくつかのサイズや長さで仕掛けを作っておけば良いのですが、振り分け仕掛けは上下それぞれを随時交換可能ですから自由度の高さは圧倒的です。

例えば上針への喰いが非常に良い時に、思い切って上針のハリスを40センチまで詰めて様子を見たり、仕掛けの張り具合を変えるために下針の号数を11号と大きくしてしまう、なんて作戦を取ることも容易で、とてもアグレッシブな展開を楽しむことができるようになりました。

 

 

このほか、自作が楽でコスパが良いという点も付随してくるので私にとっては手放せ無い仕掛けとなりました。

自作する時間が無い場合等は通常の市販仕掛けを使うこともありますが、枝スを出さないというだけで仕掛け作りの手間と心理障壁は一気に下がるので、前夜にサクッと結んで仕掛け巻きにクルクルと連結させていく、といった感じで準備してしまいます。

 

 

「振り分け仕掛け」使用時の注意点

新しい構造の仕掛けを使用すれは、多少の慣れを必要とする部分が出てきます。

ひとつは、風が強い日の取り回し。

これまで説明してきた通り、振り分け仕掛けは天秤から直接ハリスを2本出しています。

これはある意味では風に煽られる仕掛けが2本に増えるとも言え、枝ス式の仕掛けより少し気を使わないといけません。

特に釣り座(右舷or左舷)と自分の釣座セッティングとの関係によって扱い難くなることがあるので、この点は加味して取り回しに気を付けましょう。

もうひとつは、ダブルで掛かった際の魚の取り込み。

振り分け仕掛けでは上下に掛かったアジがバラバラな方向に泳ぎますから、慣れないとちょっとアセります。

かと言って、それぞれのハリスを別々に手繰るのは非効率、且つトラブルの元ですから、天秤先端からハリスを2本一緒に指に掛けて手繰ってやりましょう。

いずれにしても、すぐに慣れで解決できるレベルですのでそれほど問題にはならないと思います。

 

 

「LTアジ用振り分け仕掛け」のベストな構造と長さは?

先にも触れましたが、振り分け仕掛けのテストでまず懸念されたのはアジの仕掛けがシロギスよりも総じて長いことにより2本のハリス同士が絡むトラブルが発生するだろう、という点でした。

が、実際に使ってみるとトラブルは思ったより起こらない。

特に工夫した点は以下の2つ。

それぞれのハリス後端にスナップ付きサルカンを結んでおく

ヒネリの無い針(がまかつさんの極アジ等)にする

というのは、長いハリス同士が絡みついてしまうそもそもの原因がハリスのヨレにあるからで、これを防止するために必要なのが、針が回転しないことと、多少回転してもヨリが取れることだからです。

更に付け加えるなら、付け餌(アオイソメと赤タン)をなるべく小さく切って真ん中に刺すことまでを心掛け、回転を抑制してやる。

これで、通常の仕掛けと変わらず余計な意識は不要となります。

また、長短のバランスが悪いと取り込み時の手前マツリが発生しやすいなど、若干扱い難くなることもありました。

例えば、長い方(以降L側)を160センチ、短い方(以降S側)を120センチにした場合。

つまり、L側とS側の差が少なくなると問題が起きやすく、S側をL側の2分の1までに収めておくのが良いようです。

もちろん2分の1より短い分には更にトラブり難くなります。

なお、現在は160センチ×80センチを基本として、他にL側120センチ、S側60センチ、40センチなど、ショート仕掛けを用意して遊んでいます。

 

 

まとめ

ということで、今回はLTアジをさらにアグレッシブに攻めの姿勢で楽しむための新発想の仕掛けについて解説してみました。

たまたま思いついたシロギス釣り振り分け仕掛けの流用というアイディアでしたが、ここまで利点が見えてくるとは正直思っていなかったので、なんでも「まずはやってみる」ことの大切さを改めて感じているところです。

攻めのスタイルということで提唱している「ライン引き釣法」「喰い芯理論」との相性も非常によく、またひとつ楽しみ方のバリエーションを提案できることをとても嬉しく思っています。

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