気付けばもっと釣れる!!陸っぱりと船釣りの決定的な違い
「船釣り」とは読んで字のごとく船の上からやる釣りを総称した言葉ですよね。
対義語になるのは海辺や川岸から竿を出す「陸っぱり」かな。
ここまでは釣りをする人からしたら当たり前なんですが、実際の釣りの最中には
” 船上にいる” と言う特殊性
については忘れてしまいがち。
また、何となく分かっているつもりでも、頭の整理ができていなかったりします。
しかし、船上であると言う状況の基本的なところをある程度理解した上で釣りをしないとトラブルが増えたり、釣果にも悪影響があったりします。
また、しっかりと理解を深めて臨めば釣果には確実に良い影響があります。
つまり、もっと釣れちゃいます!!
自分と仕掛けの位置関係
どのような釣りにおいても、
自分と投入した仕掛けの位置関係を考えながらロッドやリールを操作し水中の仕掛けをコントロールする
というのは共通だと思います。
仕掛けを自分の方に近づけたいのであればミチイトを引っ張る方向に操作をするし、ステイしたいのであれば当然ですが、引っ張ってしまわないよう操作します。
これは横方向、縦方向、どちらでも同じこと。
横方向は、キャストをするなどして仕掛けが船から離れた位置にある状態から手前へ寄せる動きであり、縦方向は下から上に引っ張り上げる(若しくは上げたものを下げる)動作ですね。
ここに、流れの要素を加えると少し複雑になります。
仕掛けを上流側に投入して流れに乗せて自然に流してやったり、流れを横切らせて引っ張ったり、下流に投入して流れに逆らって引っ張ったり、もしくはその場にステイさせたり。
しかし、いくら流れの要素が加わったとは言え、ここまでは比較的に理解し易いのではないでしょうか?
と言うのも、ここまでは常に釣り人の立ち位置が固定されている前提になっていたからです。
ところが、こと船上からの釣りになるともう一つの要素が加わってきます。
そう、自分の立ち位置が動くんですね。
しかも「自分の意図とは関係なく」です。
要は、『動く乗り物(船)から、その外側にあるものに糸を繋いで操作をしている』訳です。
正にここが船釣りの特殊性で、実釣時には余計にこんがらがってしまいやすいところです。
というこで、まずは自分の立ち位置が動いていることを確認する方法を考えてみましょう。
自分の位置が動いていることを認識しよう
船は言うまでもなく水面に浮いています。
なので、車のようにサイドブレーキを引いて固定しておくと言うことは出来ません。
潮に流され風に押されるので、船長はその点を考慮して、良いポイントに仕掛けが入るように、釣りがしやすいように操船をしています。
そして、この操船には主に次に挙げる二つの方法があります。
流し釣り
遊漁船の多くの釣りものでは、錨を打たずに船長がポイント上を少しずつ移動するように操船していく「流し釣り」の方法がとられています。
状況によりエンジンを掛けた状態で流れる速度を微調整するエンジン流しと、エンジンを切って風と潮に任せたドテラ流しやパラシュートアンカーにより流れる速度を適切に保つ流し方があります。
こうして船はある一定方向に移動して行くのですが、これを我々が察知するには二つの指標があります。
ひとつ目は、周りの景色を見て流れている方向を知る方法。
例えば岸近くにいる場合なら岸の建物や磯等を見たり、沖目であれば緑や赤のブイ(航路を示す灯標)や、シーバース等の人工建造物等のなるべく固定されているものがどちらに動いているのかに注意を向けてやります。
これで大まかな方向はわかるでしょう。
次は投入しているミチイトの向き。
ミヨシ側に引っ張られるなら恐らく船は後ろに下がっているし、トモ側にいくなら船は前に流れていそうです。
が、潮が速い場合は仕掛け(錘)が流されている場合もあります。
「景色を見ると船の位置が動いて居ないようなのに、ミチイトが一方に持って行かれている」
というなら仕掛けが潮に流されているだろう、という推測が成り立ちます。
ちょっとややこしい・・・
とりあえずここでいったんまとめると
- 陸や固定された建造物等から判断
- ミチイトの向きから判断
- 上記2つを組み合わせて判断
となります。
掛かり釣り
一方、錨を打って船をポイント上に止めて行うことを「掛かり釣り」などと呼びます。
手漕ぎボートや小型のプレジャーボートではこちらが主流になりますが、乗り合いの遊漁船ではいつくかの釣りものに絞られます。
東京湾において錨を打つ釣りものと言えば、湾フグと夜アナゴが代表的ですね。
錨はほとんどの場合船首から投入して、しっかり利かせる為にロープを水深の数倍出していきます。
前後方向が固定されている、と言うのが流し釣りとの大きな相違点ですね。
ただ、ロープ一本での固定ですから、船は主に風の影響で左右に振れる。
従って、ミチイトは自分の座った舷から沖目に払い出したり船下へ入ったりを繰り返したりします。
つまり、ミチイトがこんな動きをする場合は、船が振れていると判断できます。
もちろんここでも景色を見て振れている方向を見定めることも可能です。
また、潮が効いている場合にはミチイトは潮の流れる方向に引っ張られていきます。
船の左右の振れが有りつつも、トータルではどちらか一方にラインが持っていかれるようであれば、それは潮の影響です。
掛かり釣りの場合のミチイトが引っ張られる要素は
・潮に流されている
・船が左右に振れている
という二つの要素の組み合わせで判断すると言うことです。
エンジン音の変化で操船を予測
ここで、船の基本的な操作方法を見てみましょう。
繰り返しますが、船は水に浮いていますから、車の様にブレーキを掛けて止まることは出来ません。
船が止まるには、進行方向と逆、つまり前進しているなら後進に、後進しているなら前進にスクリューを回してやる必要があります。
左右の動きには、車のように前後に切り返しを行いながら流れ方を微調整します。(前部スラスターがある船はそれも利用して調整)
前述のエンジン流しの場合、このような操作を駆使してポイント上をなるべく釣りやすい速度で通過させるのが船頭の腕の見せ所です。
我々釣り人も、船長がこのような操船を行っていることを理解しておくと、釣りがより快適になり、緻密な仕掛け操作の助けになります。
理屈だけを言ってもイメージが湧きにくいので、ここで具体的な例を挙げてみましょうか。
例
- 東京湾内で北風、下げ潮のシチュエーション。
- 自分の釣り座は右舷で、ミチイトは少しずつ右前方に払い出していく。
- 景色の変化と併せて見てみると、どうやら船は左後方にゆっくり下がっていそう。
- 時々エンジン音が大きくなるとミチイトが自分の前に戻ってくる。
この場合、船は左後方へ流されていて、それを船長が流れ過ぎて釣り難くならないように補正している、と言うことになりそうです。
一定に鳴っていた(アイドリングしていた)エンジン音が急に大きくなるのは、船長がクラッチを前後どちらかに入れてスクリューを回した為で、この場合、後ろに下がり過ぎたのをいったん前に戻している、といったところ。
このように、クラッチを入れて流れ方を補正した直後はアイドリングでゆっくり流れている時とミチイトの向きが変わります。
なので、クラッチ操作をした直後のタイミングでミチイトが払い出していく方向にキャストで再投入してしまうと、再び流れ出した時には結構釣り難くなることが予想されますし、また、周りの人とミチイトの入っている方向が違うのでオマツリもしやすくなります。
船釣りの回数が多い人は経験的に「釣りが上手な人はオマツリが少ない」というのを感じると思いますが、その理由のひとつがここにあります。
つまり、上手な人は船の挙動を踏まえた上で再投入や仕掛けのコントロールを行っているんですね。
そして、イメージ通りの仕掛け操作が行えるので釣果にも結びつき易くなる、という好循環。
ほんと、良いことづくめですね。
魚が見ているのは餌と仕掛けだけ
以前の記事でもほんの少し触れていますが、魚からしてみれば、我々が船上で止まっていようが動いていようが知ったことではありません。
当然彼らが見ているのは仕掛けと餌だけです。
それをイメージしていくことこそが釣果を安定させていく為に欠かせないポイント。
水中の仕掛けの動き、変化を敏感に察知するには、ロッドのポテンシャルを引き出す為に適切に使う必要がある。
その為には理に適った構え(フォーム)を取ることが必要となる。
そういう優先順位が成り立っています。
なお、理に適ったフォームについては私が提唱しているG.F.A理論と、マルイカの記述をご参照ください。
参考記事① : 釣果が安定しない人必見!!基礎固めでこっそり上達!?
参考記事② : マルイカ ゼロテン釣法でお悩みの方必見!!アタリを大きく出す方法
実釣時に、如何にこれを強く意識し続ける事ができるか?
と言うのが、これからも個人的な課題になると思っています。
まとめ
私は子供の頃に陸っぱりのハゼ釣りから始め、ルアーフィッシング、フライフィッシングと経験してきましたが、その殆んどが陸っぱりの釣りでした。
そして、船釣りに移行して一番戸惑ったのが、『船の挙動と仕掛け操作の相関関係』です。
自分が止まっていても船が動いていれば仕掛けはステイしてくれない
と言う当たり前の事実に気付かないうちは、シロギスが思うように釣れませんでした。
それに気が付いたのは、ある船長から言われた
『船に釣ってもらっているようじゃ、余計に釣れるようにはならないぞ』
という言葉でした。
最初は ???????? でしたが、毎週船釣りに通ううちに意味が分かり始めると、面白いように釣果が伸びていきました。
特にシロギスは、仕掛けの横の動きに非常に敏感なので、船の動きを含めた、速度、アクションをぴったり合わせることが出来れば面白いように数を伸ばせる様になります。
まさに仕掛け操作の基礎がと詰まっているのが船シロギスで、この釣りで思うように釣れるようになれば総合力が大きく向上すること請け合い。
もちろん、カワハギの釣果にも直結しますので、今回の記事を是非参考にしてください。
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