【もっと釣れる船シロギスロッドを選ぶ】必須条件は『誘えるロッド』

このブログでは、船シロギス釣りにおいて最も重要なポイントは「誘い」である、と説明してきました。

 

関連記事 : 船シロギス釣りの極意は『誘い掛け』にあり

Youtube動画【シロギス釣り】数釣りのための奥義を公開!!『誘い掛け』で束釣りを目指せ

その理由については記事中でかなり詳しく説明していますのでそちらをご一読いただくとして、ここではざっくりポイントだけおさらいしましょう。

誘いが必要な理由は

①興味を惹く
②存在の確認

のふたつです。

実はこれ、シロギスに限らず多くの釣りにおいての基本となる重要項目で、カワハギ釣りの拙著にも詳しく記載しています。

リンク : ロッドビルダーが教える〜カワハギ釣り上達への道〜 本気の人が読む【カワハギ釣りの教科書

まぁ、誘いよりも「アタリを取って掛けるんだ!!」と穂先を凝視して結果が出なかった、というのは私も経験がありますが、入門後しばらくして多くの人が陥る罠じゃないかと思います。

その原因のひとつは「アタリを見ようと止めた仕掛け=動かない付け餌」になってしまうからです。

また、居食いしている魚を察知するにはこちらから仕掛けを動かしてやる必要があり、これを誘いの動作が兼ねるわけです。

このように誘いの重要性は明らかですから、当然ロッドにはきちんと誘いを入れられることが求められます。

ということで今回はシロギスロッドに必要なことを『誘い』との関係から詳しく考えてみたいと思います。

 

 

『誘い』とはロッドの動きではなく仕掛けの動きである

誘いを行う際にロッドを動かしてやるのは当たり前で、これはおそらく釣り人全員が理解していることと思います。

しかしここで間違えてはいけないのは、ロッドの動き=誘いではないということ。

そもそも誘いとは仕掛けに動きを与えることですから、ロッドを動かすことはそのための手段に過ぎません。

魚が見ているのはロッドの動きではなく餌の動きですから、どんなに素晴らしいロッドアクションもそれが付け餌に伝わらなければ無意味だ、というのは当たり前の話です。

が、これを忘れてロッドを動かすこと自体が目的になってしまい、仕掛けの動きに意識がいかなくなるという人は意外に多いもの。

例えば、「誘いを入れて」と言われてミチイトが弛んだまま申し訳程度に2〜3回竿先を軽く煽ってみて、その後はまた延々と穂先凝視という結構よく見る光景。

この場合、多くが「ロッドを動かしただけ」で仕掛けが動いていない、つまり魚の興味を惹く効果のない無駄な動作をしただけだったりします。

では、こうならないためには具体的に何をすれば良いのか?

その答えは、

ロッドで錘の動きを感じながら誘いの動作を行うこと

です。

と少々長くなりましたが、ここまでが船シロギス釣りのロッドに必要な要素を考えるにあたっての事前情報です。

 

 

上達を目指すには『誘い』を行えるロッドが必須


シロギス釣りには適切な『誘い』が必要で、それが行えるかどうかで釣果が大きく変わります。

そして、シロギス釣りの『誘い』の根幹は「ロッドを通して手で錘の動きを感じ取ること」です。

東京湾の船シロギス釣りでは多くの船で15号の錘が指定となっていますが、良い船シロギスロッドとは適切なアングル(竿先とミチイトの角度)で構えた時にこの15号の錘の動きを感じ取りつつ、小さな操作を連続で行えるものです。

ちなみに他の記事でも少し触れましたが、近年の市販のシロギスロッドは、そのゲーム性や楽しみ方が忘れられ、現行品で「これならちゃんと誘いが行える」というものは本当に少なくなってしまいました。

ちなみにこれは私の個人的な感覚による推察ですが、多くのシロギスロッドが『誘い』に向かないものになってしまったのは、魚を掛けた後にロッドが大きく曲がって楽しませてくれる、というところを重視してしまった結果ではないかと思います。

特に釣り全般がライト化した流れに乗って、スピニングタックルが主流であるシロギスロッドはウルトラライトアクションのルアーロッドのようなコンセプトになったのです。

船シロギスは元々ライトなのでライト方向に過度に寄せる必要は無かったんですが・・・・

と、20数年前からのこの流れで、ムーチングアクションのエリアトラウト用のような船シロギスロッドが主流となり、一時は本当に基本性能を満たすものが皆無に近い状態に陥りました。

少し好くなり始めたのがここ最近で、それでもやっと2〜3種類といった感じですね。

シロギス釣りのマニアとして、そしてロッドビルダーとしてはこの状況は放置できない。

ということで、O.F.Fでは満を持して『斬-ZAN!!-シリーズ』にシロギスを加えることとなったわけです。(2023年4月発売予定です)

 

 

誘えるロッドと誘えないロッドの違い

では、誘えるロッドとは具体的に何なのかをもっと具体的に見ていきましょう。

先程も少し触れましたが、船シロギスの誘いは適切なアングルを作るところからスタートします。

適切なアングルとは、竿先とミチイトの作る角度が90度±15度の範囲に収まっている状態です。

 

関連記事 : 船小物釣り上達の絶対的な秘訣!!G.F.A理論とは【後編】

 

この状態でロッドを通して錘の挙動を手元に感じながら仕掛け操作を行えることがシロギスロッドに求められる基本性能。

極端な話、この一点さえクリアされていればあとは些細な問題と言っても良いくらい重要です。

これは、錘をその場でパタパタとさせたり、持ち上げたり、海底をずらしたり、更には錘の上側だけを揺らしたり(胴突き仕掛けに限る)など、とにかく動きの大小とピッチをコントロールしつつ、且つしっかりと動かすことが求められるためです。

 

関連記事 : 船シロギス釣りの極意は『誘い掛け』にあり

 

中には「いや、胴が柔らかいロッドでも誘いはできるよ」という人もいるかもしれませんが、さにあらず。

例えばエリアトラウト用のような胴調子のロッドで上記のような誘いを行なおうとした場合、かなり難易度が増します。

まず、これらのロッドで適切なアングル(90度±15度)を保ちつつ15号錘の挙動を感じ取ろうとすると、ロッドを大きく曲げた状態、つまり穂持ちから胴の辺りに負荷を掛けた状態にする必要があります。

ロッドは曲げた分だけ大きく戻ろうとします。

この状態で上級者のロッドの動きだけを真似た場合、先に書いたような「ロッドは動いていても仕掛けはそのまま」という無意味な動作になります。

また、手の感触を頼りに錘を動かそうとした場合、このようなロッドでも誘いが可能なアングルを探していく、具体的には大きくアングルを開いてロッドの弾力を殺してやることになります。

こうすることで一見操作できるようになったと感じますが、しかし今度はアングルが開きすぎているが故に船の動きについて行けなくなります。

しっかりと錘を一点に止める必要があるのに船にの動きに影響を受けて不必要に仕掛けを持ち上げたり引きずったり、尚且つ不必要に動かしてしまっていることに気付けない。

つまり仕掛けをコントロール出来ないという不都合が生まれます。

 

参考記事 : 気付けばもっと釣れる!!陸っぱりと船釣りの決定的な違い

 

敢えて鈍角に構える、敢えて引きずる、というのは作戦のうちですが、正しくない構えによって無意識にやってしまうというのは論外で、実はこれが多くの中級者に見られる課題点でもあります。

適切でないロッドによって悪い癖がついてそれが固定化されてしまうと、無自覚なだけに自分では修正するのがとても難しいのです。

※私の船上でのレクチャーではこの点を必ず指摘させてもらっています。

もちろん、それでも掛けた後のロッドの曲がりを楽しむ、というのは嗜好のひとつですから数を狙わないというなら問題ありません。

あくまで船シロギスの数釣りにおいて必要なロッドというのが本記事のテーマですのでご容赦ください。

 

 

【余談 】スピニング専用ロッドは船シロギスに必須か?

現在、船シロギスにおいて基本となっているスピニングタックル。

実はこれについては別記事でも触れましが、現在ではある意味で過去の慣習によるものにすぎない、というのが実情です。

 

関連記事 :ベイト?スピニング?東京湾船小物釣りのタックル考察

 

ちょっと乱棒ですが、かい摘んで言うと「昔は簡単に投げられるベイトリールが無く消去法でスピニングリールを使うようになり、それが今も続いている」ということです。

しかし、ベイトリールの性能が格段に上がった現在、船釣りでもキャストをするのが当たり前。

カワハギも湾フグも皆さんベイトリールでバンバン投げていますが、だからと言って「投げ難いからスピニング」という声は聞きません。

が、こと船シロギス釣りとなった途端に「ベイトタックルは投げない」とか、「船下で胴突き仕掛けを置き竿するために使うもの」なんて感じになるのは完全に固定観念の成せる技でしょう。

もちろんベイトリールでのキャストはスピニングに比べて若干のコツが必要になりますから、「扱いに慣れておらず上手く投げられないのでスピニングにする」というのは選択肢として有りです。

また、上級者が更なる飛距離アップを意図してスピニング、というのも戦略のうちです。

が、ベイトタックルでのキャストができる人がわざわざシロギスだけをスピニングにする理由は今や特に無いと言っても言い過ぎではないと思います。

言い方を変えれば、スピニングを使用することの優位性は昔ほど無くなっている、ということですね。

ちなみにかく言う私はベイトシロギス派であり、20年来このスタイルですが全く不便を感じたことがありません。

なお、市販のシロギスロッドのほとんどが完全にスピニングリール使用を前提に設計されている(特にガイド)、というのもこの状況を固定化させる要因のひとつなので、もっと自由に楽しめるように、ということで当工房のロッド「シロギス斬-ZAN!!-」はベイトとスピニングの共用として設計しています。

 

 

まとめ

ということであれこれ書いてきましたが、船シロギス釣りのロッドに必要なことを再度ひとことで言うと

アングルを90度±15度に保って誘いが行えること

となります。

なお、これについては天秤仕掛け、胴突き仕掛けの別はありません。

どんなに低活性の状況であっても一切誘わずに止めっぱなしは、付け餌の放置に過ぎません。

しっかり長めのステイが必要な状況でも、その前には適切な誘いが必要となる、ということを理解しましょう。

そして、それを行いやすくするのがロッドを始めとした釣り具の役割り。

適切なロッドを選んで適切な誘いを行えば自ずと釣果は伸びていきます。

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