【船シロギス】アタリを倍増させろ!!最強の『誘い掛け』を隅々まで解説します〜②実践編〜
船シロギスのアタリを倍増させてよりアグレッシブに釣ろう、ということで解説している今回の記事。
前回の理論編ではその核心となる「誘い」の意味と重要性、そして水中での仕掛けの動きについて詳しく解説してきました。
ここまでのポイントをおさらいすると、
①誘いとは仕掛けの動きであり、ロッド操作はあくまでその為の手段である
②誘わないのは餌の放置と同じである
③効果的な誘いとは仕掛けの移動距離を抑えつつしっかり動かすことである
④短い距離に多くの誘いを入れることで魚を寄せる効果が高まり、これによってアタリが倍増する
となります。
そんなわけで、後編の今回は上記の4点を踏まえて、船シロギス釣りにおける効果的な「誘い」の実践方法、つまり「誘い掛け」の具体的なやり方に迫っていきます。
なお、前編を未読の方は是非こちらから先にお読みください。
前編 : 【船シロギス】アタリを倍増させろ!!最強の『誘い掛け釣法』を隅々まで解説します〜理論編〜
【シロギス実釣動画】
最強の誘いはボトム(海底)での『小突き』 = 錘のパタパタアクションである
では最初に結論です。
ここまで解説した内容を網羅する具体的な方法であり最強の誘い方とは
『ボトム(海底)での連続した小突き』
です。
言葉にしてみると非常に単純なので「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、釣果が伸び悩む人は全くと言っていいほどこれをやっていないのです。
単純なように見えて、実は基本的なロッドの構え方とロッド操作のマスターが不可欠であり、またメンタル面では、ともすると陥りがちな「アタリが無い時ほどじっとアタリを見たくなる」という観念から脱却する必要があったりと、意外にハードルが多いものです。
実際にシロギス船での様子をリアルで、または動画などで見ていても、多くの人が全くもって「誘い」を行わずアタリを凝視している、もしくは、若干誘いらしき動きを入れていてもその方法が理に適っていない、というのが実態です。
今回船シロギスの基礎釣法に据えるべき、とおすすめしている「誘い掛け」では、このボトムでの連続した小突きによる誘いを主軸に釣りを組み立てていきます。
そして、これによって自分の仕掛け付近にシロギスを寄せることこそがこの釣法の極意。
この観点に立って見れば、仕掛けを止めてアタリを見るという行為は、誘いによってシロギスを寄せた後に行なってこそ意味が出てくるもの、とわかります。
止めている間だけを切り取れば同じように見えますが、そもそも近くに居ないものを延々と待ち続けるのとでは結果に雲泥の差が生まれるわけです。
ということでここから先は、この最強の誘いである「小突き」をいかにしてコントロールするのかについて詳しく解説してきましょう。
誘いは錘の感触を手がかりに覚える
では早速具体的な方法に入って行きますが、そこでまず最初に身につける必要があるのが、目に見えない水中の仕掛けをコントロールする方法です。
当然ですが、海中にあるハリスや餌の動きを手や目で感じ取ることはほとんどできません。
かといって闇雲にロッドを動かしても、それはあくまでロッドの動きであり、水中の仕掛けの動きと連動するかどうかはかなり微妙です。
しかし、動かす際に何かしらの手がかりが無ければどうしても目に見えるロッドの動きだけに頼らざるを得なくなる。
この不確かさこそが前編でお話した、目的(仕掛けを動かすこと)と手段(ロッドを動かすこと)を実釣の現場で取り違えてしまう大きな原因です。
確実に仕掛けの動きをコントロールするためには何かしら水中に手がかりがほしい。
そこで利用するのが錘の重さです。
東京湾の船シロギスで主に使用される錘は15号。
グラム換算すると約56グラムです。
これはルアーフィッシングで扱う錘やルアーなどと比べるとかなりの重量になります。
これくらいしっかりした重さがあればそれを手に感じることは容易で、ミチイトを張ってやれば確実にわかりますよね。
この誰にでもわかる錘の感触を仕掛けコントロールの手がかりにしていく、というのがボトムでの「誘い」を行うにあたっての最初の一歩です。
誘いのためのロッドアングルと適したロッドを確認しよう
ミチイトを張ったところで錘の重さを感じる、という非常に簡単な動作を確認したら、次はアングルです。
ここで言うアングルとは穂先とミチイトの作る角度のこと。
錘をボトムに置いてミチイトを張らず緩めず、つまりゼロテンションの状態にした時に、穂先とミチイトがどんな角度になっているのか?
正解は90度付近(概ね±15度の範囲内)に収まっていることです。
これが極端に鈍角、もしくは鋭角になっているのは本来的にはアウトです。
これに関しては以前の記事で事細かく解説していますので是非一読をお勧めします。
参考記事
なお、あえて「本来的には」という言い方をしたのは、不適切なロッド(言い方はあれですが)によってこれがきちんとできない場合があるからです。
そして残念ながら実際のところ、その不適切なロッドというのが非常に多い・・・・
もちろんこれ、シロギス専用と銘打たれているロッドでの話です。
もう少し詳しく言えば、現行の専用ロッドの多くが柔らかすぎるんですね。
そのせいで、本来正しいアングルである90度付近で構えると、穂持ちから胴にかけてがグニャっと曲がってしまい、全く誘いが効かないという事態が発生します
このようなロッドで誘いを何とか成立させるには、付け焼き刃的に大きくアングルを開き、穂先から穂持ちに掛けての弾力を殺して使うことになります。
まぁ、一義的にはこれである程度カバーできますが、今度は穂先の曲がりを活かせなくなると同時に、仕掛けを手前に引っ張る力が働きやすくなって誘いのコントロール性が欠けてきます。
そしてこれを続けることの一番の問題は、竿先を下げてアングルを常に鈍角にしてしまう癖が付いてしまうということ。
この癖は小物釣り全般において弊害でしかありませんから、絶対にやめた方が良いです。
なお、この辺りのことについても別記事で詳しく述べていますのでご参考ください。
参考記事 : 【もっと釣れる船シロギスロッドを選ぶ】必須条件は『誘えるロッド』
そんなわけで、船シロギス釣りで一定以上のレベルを目指すには、正しいアングルで誘いを掛けられる適切な調子のロッドが必須です。
もちろんロッド選び、調子選びにおいて個人の好みという側面はとても大きいです。
しかし、全体が柔らかすぎるものはそもそも選択肢にすら入れるべきでない。
誤解を恐れずに言うなら「それらはシロギスロッドとは呼べないものである」となってしまいます。
「適切に誘える」という基本性能を満たした中(まだまだ選択肢は少ないですが)でも更に調子やデザインには個性がありますから、この中で好みのものを選ぶ、というのが失敗しない方法です。
なお、O.F.Fの『シロギス斬-ZAN!!-』は誘いを最も重視して私自身がテストを繰り返し、採算度返しでこだわりまくって設計しています。
自信を持っておすすめできるロッドですので、選択肢のひとつに入れていただけたら嬉しいです。
基本の誘いは「緩める→張る」のステップを意識して行う
ではここからいよいよ実際の動きです。
と言っても、ここまでの基礎知識をきちんと理解していれば非常に単純な内容です。
端折らずに順を追って解説しますのでご安心ください。
では、ロッドを動かして小突き誘いを行っていきますが、その動きは次の3つの段階で構成されます。
① ゼロテンポジションがスタート位置
② 手首を使い竿先を少し下げてミチイトのテンションを緩める
③ 手首のスナップを効かせ、ミチイトがピンと張って錘の重さが穂先に乗るところ、つまり穂先が止まるところまで竿先をツンッと跳ね上げる
なお、この時の錘の動きに注目してみてみると
ゼロテンからミチイトを緩める、つまりマイナステンション時に錘は海底で寝ていて、ミチイトには弛み(ラインスラック)が発生しています。
そこからロッドをツンと跳ね上げてミチイトを張り、錘の重さが手元に伝わったところで止め、すぐにまた①に戻り動作を繰り返します。
すると寝ていた錘が一瞬起き上がりすぐに寝る、つまり錘が海底でパタパタする『フラッタリングアクション』の完成です。
ちなみにこのフラッタリングアクションだと1秒間に2回以上の速いピッチで錘を動かすことができますが、テンションを抜く操作を入れていないと錘が持ち上がってしまうのでこのピッチが保てません。
動画は私の誘いですが、「小さい小突きという割にロッドは結構大きく動いているな」と感じる人も居るかと思います。
その理由は、スタート時にテンションを抜きラインスラックを使うためにロッドを下げた分の幅が追加されているからです。
なんとなく動きだけを真似て同じように動かしたつもりでも、錘を持ち上げてしまって移動距離が大きくなるとアタリ数が激減してしまいます。
「見かけ上のロッドの動きと仕掛けの動きは必ずしもイコールではない」という典型的な例ですね。
フラッタリングアクションが上手く出来ているか確認するには、1秒間に2回のピッチを維持することができているか、カウントしてみましょう。
上手くいかない場合は、腕ではなく手首のスナップを使い、且つ最初にテンションを抜きラインスラックを出すことを意識してください。
更に応用として、竿先の跳ね上げをふわっとソフトにし、ミチイトの張りを控えめにしてやることで錘が寝たままになり、横移動ゼロのいわゆる定点誘いができるようになります。(主に胴突き仕掛けで行う誘いパターン)
このように、いずれの誘いも錘の重さを感じながら行うことが非常に重要だ、というのがおわかりいただけると思います。
ちなみに、ラインテンションを抜いた状態からツンッと瞬間的にラインを張って移動距離を抑える、というアクションはルアーフィッシングの世界では非常に多用されるテクニックです。
例えばトップウォータールアーのテーブルターンやドッグウォークアクション、ミノーのトゥイッチアクション、エギングでのスラックジャーク等。
いずれも、ラインスラックを利用してアクションを生み出し移動距離を抑えますよね。
やったことが有る人ならこの例えが一番ピンと来るかもしれません。
小突き誘いをマスターしたら「誘い掛け釣法」は8割クリア
前項の方法を実践することで、ラインスラック利用して移動距離を抑えつつ錘をパタパタ動かす「フラッタリングアクション」が可能となりました。
これが『誘い掛け』の様々なパターンの大元になるわけですが、そもそもこれをひとつマスターしただけでも、アタリ数はこれまでと比較にならないほど飛躍的に向上するはず。
つまり、釣法の8割はこれができた段階で達成されていると言っても過言ではありません。
ですから、あれこれと机上で要らぬ策を弄したりギミックに頼るより先に、この基本的な動作を身につけてしまうことが先決となるわけです。
ちなみに錘を確実に動かすことは、そのまま仕掛けを動かすことに繋がっていきますが、とは言え全てではありません。
例えば、潮の向きや強さによっては上手く仕掛けに動きが伝わらない場合もあります。
そんな時はシロギスが餌を咥えてもアタリが出難く、気づかないうちに餌が短くなっていたり盗られていたり、という場面が増えてきます。
が、餌が盗られている以上、最終的にアタリとして伝わらないだけで「誘いによる集魚効果」はしっかり発揮されていると考えることもできます。
ですから、ここから更に早い誘いにしたり、ステイを入れたり、ゆっくりと手前にサビいたりして上手くアタリが出て針掛かりするパターンを探っていく段階に入るわけです。
1秒間に2回小突くというこの基本は、言ってみれば「誘いの動作の一単位」。
小さく細かい動きを基準にすることで、ピッチや回数の組み合わせ、そして強さを段階的にコントロールすることも容易で、非常に応用しやすいのもこの方法の特徴なのです。
補足1:船シロギス釣りに適したロッドの持ち方
先にも触れましたが、『誘い掛け釣法』の基本単位となるボトムでの小突き誘いには、アングルコントロールがとても大切です。
そこで今一度見直したいのがロッドの持ち方。
と言うのも、アングルコントロールに意識が無い人は、ロッドの持ち方によって構える角度がある程度決まってしまうからです。
特に船シロギス釣りで多用されるスピニングタックルでは、「ペンシル持ち」という特殊な持ち方もあり、きちんとその特徴を理解しておかないと悪い方向に癖がついてしまいかねないのです。
●おすすめはノーマルな肘当てスタイル
私が船シロギスをレクチャーする際におすすめしているのが竿尻を肘にあてる持ち方です。
これはスピニング、ベイト共通の最もノーマルな持ち方であり、コントロール性、安定性ともに抜群。
小さな動きでは竿尻をフリーにして手首のスナップを使って操作し、アワセや巻き上げ時などの負荷が掛かる時には竿尻を肘にあてて支えてやります。
そして、この持ち方最大のミソは画像のように「持った時に自然と竿先が上を向く」というところ。
つまり強い意識が無くとも、アングルコントロールの最大の敵である「つい竿先を下げてしまう」という悪い癖がつき難くなるんですね。
ちなみに、シロギスを始めとした錘を海底に着ける船小物釣りにおいては、竿先を目線より更に上に大きく上げる動作は必要不可欠です。
したがってパワー系の持ち方である「竿尻の脇挟み」は圧倒的に不向き、というかご法度となります。
●アングル保持に注意が必要なペンシル持ち
スピニングタックルの使用者が多い船シロギスでは「ペンシル持ち」と呼ばれる持ち方も普及しています。
大きな力は入れ難いですが、その代わりにロッド操作には強制的に手首のスナップを使うことが必要とされるのがこの持ち方の特徴です。
ですから前述のノーマルな持ち方ではどうしても力を入れ過ぎてしまったり、スナップを使った細かい誘いが身に付かない人には、これを矯正する意味で利点があります。
しかし、問題がひとつ。
写真は先程のノーマルな持ち方と同じ腕の位置でごく自然にペンシル持ちをしたものですが、ロッドの角度が水平付近になっているのがお分かりいただけるでしょう。
つまりこれは、ペンシル持ちでは意識していないと竿先が勝手に下がっていまうということを示しています。
実際ペンシル持ちをしている大多数の人が、仕掛けを移動させる際と聞き合わせの際の大きく煽る動作時を除き、竿先は低い位置(上がって目線程度まで)で止まってしまい誘いのコントロール性が著しく悪くなっています。
なので、ペンシル持ちをしたい人は必ずアングルを保持することを強く意識しましょう。
なお、この持ち方を多用される超エキスパートは、きちんとアングルコントロールを行っていて、キャスト後の誘いとステイの際には竿先がバッチリ上がっています。
動画などを見た際はその点に注意してチェックしてみてください。
補足2:「胴突きには柔らかいロッド」という言説の正体
時々、胴突き仕掛けでのシロギス釣りには柔らかいロッドが良い、という話しを見聞きします。
が、この記事をここまで読んでいただいた皆さんには既にお分かりの通り、誘いの基本はどちらの仕掛けでも同様です。
となれば、ロッドを胴突き用、天秤用とする必要性は特に無い、というのが実態です。
ではなぜこのように言われるようになったのか?
その理由は大きく次のふたつだと思われます。
① 天秤よりダイレクトなのでアタリを弾いてしまうのではないかという懸念から
② 天秤を介さない分、ロッドの動きが仕掛けに伝わりやすい(誘いが効きやすい)から
①については実際に釣りをしてみればわかりますが、特に弾いて困るということはなく、どちらかというとイメージが先行した言説かと思います。
もし上手く掛からないとすれば原因は他にあると考えるほうが建設的でしょう。
②は原因と結果が逆になっています。
天秤の場合、仕掛けを動かすには天秤と錘を間に介している分柔らかいロッドでは動きを伝え難いが、間に何も介していない胴突き仕掛けなら辛うじて動かすことができたりする。
結果として、柔らかいロッドでは胴突き仕掛けでだけアタリが出せる⇒「胴突きには柔らかいロッドが向いている」と思い込んでしまう、という流れです。
そもそも、仕掛けに関しては前編でも述べた通り枝葉の問題。
もちろん「間に何も介して居ないから小さな力で仕掛けを動かしやすい」という胴突きの特性を理解しておくのは重要です。
例えば先に少し触れた「移動距離ゼロの誘い」はこの特性を利用して行うわけですね。
まとめ
2回にわたり、船シロギスをアグレッシブに攻めて釣るための基礎である『誘い掛け釣法』についてお伝えしました。
一切包み隠すことなくガッツリと書いてみた積もりです。
今まで、なかなか釣果を伸ばせずにいた人や、浅場の最盛期などの決まった条件下でないと釣れないという人は、とにかく「アタリを待つ」から「誘って攻める」ことを中心に据える方向に意識をシフトさてみてください。
きっとお役に立てるはずです。
そんな私が唱える船シロギス釣りの格言は
『誘わずは釣れず』
です!!
攻める釣りは楽しいです。
どんどん楽しみましょう。
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