【船シロギス】アタリを倍増させろ!!最強の『誘い掛け釣法』を隅々まで解説します〜①理論編〜

東京湾の船シロギス釣りの最も根幹をなすテクニックは「誘い」です。

そして、それを中心に据えてパターンを見つける釣りを『誘い掛け』と定義しています。

当ブログでは、いくつかのシロギスの記事で「誘わなければ釣れない」ということを説明しているわけですが、これを簡単におさらいすると

誘わない = 餌を海底に置きっぱなし → その辺に落ちてるものと同様で存在感が無い

という一点に集約されます。

 

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つまり

1.餌を見つける
2.食べるかどうか判断する

というふたつのプロセスがほぼ運任せ、シロギスの気分次第となってしまうということにほかなりません。

 

そして言い換えればこれは「勝手に釣れてくれる魚」が釣れただけ、とも捉えられます。

シロギスの資源量が多い東京湾では、この「勝手に釣れてくれる魚」が一定数いますから、必要な誘いを行わなかった場合でもボウズを喰らうことはあまりないでしょう。

が、その場合の釣果数は最小限にとどまり、釣り座の優劣を加味してもあまり差が生まれません。

しかしここで効果的な誘いを行った途端、その効果は歴然として現れ、時に3倍〜5倍といった差になることもあります。

シロギスは船全体に回るだけ均等に居るので、釣るか釣らないかは誘い次第、ということですね。

 

そんなわけで、今回は船シロギス釣りにおける最も効果的で汎用性の高い「誘い」の方法について、包み隠さずに掘り下げていきたいと思います。

 

 

上達に必須となる基本、且つ最強の誘い方とは?

ではまず結論から。

東京湾の船シロギス釣りにおいて、最も基本となり、且つ効果的な誘いとは『短い移動距離の中でなるべく多くしっかり動かす』ことです。

 

とは言えこのひとことですぐに実践できるのは、既に釣り方が完成している上級者や放っておいても勝手に上手くなる「天才」とか「センスが良い」と言われる人たちです。

我々のような普通の人は、もっと具体的な動きや水中イメージを併せて理解していかないとなかなかできるようになりませんから、詳しい方法についてはこの記事で順を追って解説していくことにします。

 

そして解説を進める前に確認しておきたい注意点がひとつ。

それは、「仕掛けの種類による差」は枝葉の問題であるということです。

ご存知の通り、東京湾の船シロギス釣りの仕掛けには、天秤と胴突きの2種類が存在します。

ここでよく言われるのが「仕掛けが違うので釣り方が違う」という話し。

要は「胴突きだから〜」「天秤だから〜」というやつですね。

この話には確かに正しい側面もあるのですが、ある意味では間違いとも言えます。

 

というもの、同じ魚を狙っている以上、最も効果的な誘いの動きはどちらの仕掛けを使っていても全く同じだからです。

その基本に立った上で、それぞれの仕掛けの特徴を活かしたアレンジを行って更に釣果を上乗せする、というのが正しい順序。

天秤、胴突き、それぞれの仕掛けの特徴と使い方については別記事でも解説しました。

 

参考記事 : 【シロギス】天秤と胴突きの使い分け方について

 

このように、それぞれの仕掛けにはその構造からより適した場面や使い方というのがあります。

が、その違いを活かせるかどうかは基礎となる誘いが正しく出来ていることが大前提で、それが無いまま単に仕掛けを変えたからと言って大きく有利不利が現れるものではありません。

 

また、先に述べた通り、誘わないのは餌を放置するのと同義なので、仕掛けが変わったところでシロギスから見たら大差が無いのは当然でしょう。

仕掛けを始めとした道具の部分、つまりギミックで伸ばせる結果は、現在自分が持っている100%の力を105〜110%に上乗せする効果はあるでしょう。

しかし1日船で20尾を釣る場合の10%は所詮2尾です。

これでは誤差の範囲内に収まってしまい、効果があったとしても実感できる数字にはなりません。

が、100尾を釣を釣る実力(基礎力)を身につければ10%は10尾となるわけで、ギミックの効果も現れやすくなります。

このことからも、まず手を付けるべきことの優先順位がどちらにあるのかは一目瞭然ではないでしょうか。

 

仕掛けや餌、針などの枝葉の要素をあれこれと考えすぎて混乱する前に、まずは土台である基本の誘いを身につける。

それこそが上達への一番の早道。

シロギスの『誘い掛け釣法』とはそんな基礎として身につけるのに非常に適した方法なのです。

ということで、この記事では枝葉の部分にはあまり言及せず、幹の部分にあたる『誘い掛け釣法』の基本動作をより具体的に解説していきたいと思います。

 

 

「誘い」とは仕掛けの動きである

では「基本の誘い」を考えていくにあたり、まずはそもそも誘いとは何なのかを確認しておきましょう。

 

「誘い」とは言葉どおりに捉えれば「魚の興味を惹くこと」になるわけですが、それだけではあまりにも漠然としています。

今回はもっと実践的な方法論に踏み込んでいきたいので、ここでの定義は「誘い」=「仕掛けを動かすこと」とします。

魚の興味を惹くためには、餌自体の匂いや動きに任せる方法と、釣り人が餌や仕掛けに動きを加えてやる方法があり、今回解説する「誘い」は後者に該当します。

そして大事なのは、この「誘い」が「仕掛けと餌の動き」であるということです。

これは当たり前なように聞こえますがとても間違いやすい事実で、実は多くの人が無意識に動かす対象を「仕掛けと餌(以降仕掛けに統一)」から「ロッド」に変換してしまっているのです。

 

例えば同じタックルと仕掛けを使っている釣り人が、見かけ上は同じ動きでロッドを操作していたとしましょう。

しかし、実際には一方はラインがピンと張った状態での操作、一方がラインが大きく弛んだ状態での操作であったなら、両者の仕掛けの動きは同じになるでしょうか?

 

このように順を追って考えれば「ロッドの動きと仕掛けの動きは常にイコールでは無い」というのは誰にでもわかると思います。

「誘い」はロッドを操作して行いますが、それは手段であり、その目的はあくまでも「水中の仕掛けを動かすこと」にある。

まずはこの点を肝に銘じておきましょう。

 

 

仕掛けの動きは二つの要素で考える

ところで、釣り方の話をしていると「仕掛けを動かすのか?、動かさないのか?」という話がよく出てきますよね。

しかし、実はこの二つの基準では仕掛けの動きについてあまり上手く状況を説明できない、という問題があります。

 

例えば、たくさん釣っている人が「今日は仕掛けをあまり動かさないほうが良いようだ」と言っていたとしましょう。

これを聞いた我々が言葉どおりに着底した仕掛けをじっとその場に止めておけば、これは先に述べた通り餌の放置になりますから、おそらくアタリ数は激減するでしょう。

 

一方で「動かさないほうが良い」と言った人の釣り方をよく見てみれば、完全に静止しているわけでは無く、よくはわからないが何かしらのロッド操作をしていたりします。

この ”何かしらの操作” にはきっと何らかの意図があるはずですが、動かす、動かさない、の二元論で考えていてはおそらくどこまで行ってもその意図を掴めません。

そこで必要になるのがが「動かす」の要素を次の2つに分解することです。

 

 

①仕掛け自体の動き
仕掛け(針、ハリス(同突きの場合は幹糸も)、天秤、錘を含む)にどのような動きを与えるのか、という視点。

(錘が立ったり寝たりする動き、ハリスと針、餌がフワッと落下するフォールの動きやふわふわと揺れる動き、小刻みに震えるような動き等)

一般的に「仕掛けの動き」と言ってイメージするのはこちらになるかと思います。

 

②仕掛けの移動距離
仕掛け操作、船の移動、または仕掛けが潮に流されること、などによって発生する横移動の距離です。

(仕掛け操作では、ズルびき、大きな小突き、カーブフォールなどで移動距離が生まれます)

ちなみにこちらは一般的にはあまり意識されていない視点です。

 

 

実際の仕掛けの動きにはこれら2つの要素が絡み合っていますが、これを敢えて一度切り離してみる。

すると自分のロッド操作が何を意図したものなのかを整理しやすくなり、釣りの再現性を高めるのにも一役買います。

また、この視点を持った上で、先程の「今日は仕掛けをあまり動かさないほうが良い」と言った人の釣りを観察すれば、おそらくその人の「動かさない」が何を意味しているのか、その本質が分かって来るはずです。

  

 

理想の誘い掛けアクションを科学する

ここまでで、誘いとは仕掛けの動きであること、そしてその動きは「仕掛け自体の動き」「移動距離」という要素に分解できる、ということを説明しました。

 

それらを踏まえた上で、冒頭に述べた結論

『短い移動距離の中でなるべく多くしっかり動かす』

を見てみると、何を言っていたのか、その意図するところが理解出来るようになってきたのではないかと思います。

 

ではここから、なぜこれが理想的なのか、その理由に迫りつつ最終的にはこの誘いの実践方法にたどり着きたいと思います。

 

●移動距離を抑えて誘うことの意味

シロギスという魚は基本的に海底付近を泳いでいます。

もう少し具体的に言えば、概ね海底から20〜30センチ程度の範囲が彼らの泳層です。

葛西臨海水族園にて撮影

したがって、シロギス釣りの仕掛け操作はベタ底、つまり錘を海底に付けて行うのが基本です。

 

と、ここで仕掛けを大きく持ち上げて海底に落とし、上から落ちてくる物に注目させてシロギスを寄せる、いわゆる「フォール」による誘いについて触れて置きます。

これは多くの魚が落ちてくる餌に反応しやすい、という特性を利用した方法であり、やり方も持ち上げて落とすだけですから非常に簡単。

ですから、一度の投入において、まずは最初の着底時と、その後も大きく持ち上げて落とす(カーブフォール含む)を行うというのは効果的なことが多く、一連の動作の中に取り入れると良いのは間違いありません。

が、この「フォールによる誘い」にはひとつ弱点があります。

それが移動距離の問題。

 

錘を持ち上げて再び着底させる動きの中では、どうしても仕掛けが元の位置から大きく移動してしまいやすい。

シロギスが餌を見つけて長い距離を追いかけてくれる高活性、もしくは非常にたくさんのシロギスが海底に敷き詰めるように居る、という恵まれた状況であれば問題ありません。

しかし、そうで無い場合には付け餌がシロギスの視界に入っていない時間が長くなり、アタリはグッと減ってしまいます。

また、必ず横移動が発生する「引き釣り」にも同様の問題が起こります。

「引き釣り」とはいわゆるズル引きで、必ず横移動を伴いますから、フォールと同様に移動距離が問題となってくるのです。

 

では、逆に海底に錘を着けて移動距離を抑えて誘った場合はどうでしょう?

ここまで説明してきた内容を理解いただいていればおそらくその利点は想像できると思いますが、ちょっと整理してみましょうか。

 

・移動距離がゼロ、もしくは少ないことで、付け餌がシロギスの視界から消えない

・仕掛け自体の動きをしっかり出してやることで、シロギスの興味を惹くことができる

 

底棲のシロギスに直接的、且つ効果的にアピールすることができるので、こちらをメインに据えるほうが理に適っています。

そのフォローや予備動作としてフォールや引き釣りを組み合わせて更に誘いの効果を高めてていく、というのがより効率的です。

 

●誘いによるコマセ効果

ちょっと別の方向からも考えて見ましょう。

それは「誘いによるコマセ効果」です。

 

「誘い」は錘をしっかり動かすことが基本となります。(具体的なアクション方法は後編で詳しく解説します)

錘を砂泥の海底で動かしてやると砂煙が立ちます。

シロギスはこれに興味をそそられて寄って来ると言われていますが、「移動距離を抑えつつしっかり錘を動かす」ことでこの習性を更に効果的に利用することができます。

つまり、狭い範囲で複数回錘を動かしてやれば、より濃い砂煙を上げてやることになる、ということです。

例として、一定の距離内に複数回の誘いを入れると仮定して考えてみましょう。

図を見てください。

 

図1.5メートルに5回

 

図2.50センチに10回

 

5メートルに5回の誘いでは、誘いを入れた各点が非常に離れています。(均等に動かしたと考えれば1メートルずつ離れている)

一方で50センチに10回では非常に密接しますから、後者のほうがアピール度が高くなるのは容易に想像できますよね。

 

また、せっかく誘ってシロギスを寄せても、最終的に付け餌を喰ってくれないと釣りとしては意味がありません。

50センチの距離にコマセ効果を演出すれば、付け餌がその中に入りやすく寄せた魚との遭遇率が格段に高くなる、というのも重要なポイントです。

 

このように、距離を抑えることと、しっかり誘うことがセットとなって誘いの効果を一気に倍増させるのです。

 

 

まとめ

ということで、今回は船シロギス釣りでいかにアタリを増やすか?について、「誘い」という切り口で解説しました。

そして次はいよい実践編。

「誘い掛け」の具体的な仕掛け操作に入っていきます。

後編の前に是非ここまでの内容を読み返して、頭を整理しておきましょう。

これまでなんとなく行っていた「誘い」を見直しておくことで、おそらく実践時の効果が違ってくるはずです。

②実践編リンク

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